酔古堂剣掃 / 集醒・白日に人を欺けば
白日欺人,難逃清夜之愧赧;紅顏失志,空遺皓首之悲傷。
新字:白日欺人,難逃清夜之愧赧;紅顔失志,空遺皓首之悲傷。
書き下し
白日に人を欺けば、清夜の愧赧を逃れ難し。 紅顏にして志を失へば、空しく皓首の悲傷を遺す。
現代語訳
昼間に人を欺けば、静かな夜に恥じて顔を赤らめることから逃れられません。若いうちに志を失えば、白髪頭になってむなしく悲しみを残すことになります。
解説
一日の昼と夜、一生の若さと老いという二つの時間の尺度で、今の行いが後に返ってくることを述べた対句です。愧赧は恥じて顔を赤らめること、紅顔は若々しい顔、皓首は白髪の頭を言います。昼に人を欺いても、夜に一人になれば良心がそれを責めます。若いときに志を捨てて怠けていれば、年老いてから取り返しのつかない後悔が残ります。前半は日々の誠実さ、後半は一生の志を問うており、小さな時間と大きな時間が重ねられています。今日の選択が今夜の心と、何十年後の自分を形づくっていることを意識させる言葉です。
この章句が説くこと
立志誠実慎独後悔修身
関連する章句
-
孟子・離婁章句下孟子曰く、「言に實無きは不祥なり。不祥の實は、賢を蔽う者之に當る。」 <解説> この節は分かりにくい。朱注に云う、「或いは曰く、天下の言實に不祥なる者有る無し、惟れ賢を蔽い不祥の實を為すと、或いは曰く、言にして實無き者は不祥なり、故に賢を蔽い不祥の實を為す、二説同じからず、未だ孰れが是なるか知らず、疑うらくは或いは闕文有らん。」私は後説を採用し、かなり強引な解釈をした。やはり朱子の言うように闕分が有るのだろうか。
-
尚書・周官德を作せば心逸んじて日々休く、偽を作せば心勞して日々拙し。
-
論語・為政篇子曰く、詩三百、一言以て之を蔽えば、曰く、思い邪(よこしま)無しと。
-
孟子・離婁章句上孟子曰く、「下位に居りて、上に獲られざれば、民得て治む可からざるなり。上に獲らるるに道有り。友に信ぜられずんば、上に獲られず。友に信ぜらるるに道有り。親に事えて悅ばれずんば、友に信ぜられず。親に悅ばるるに道有り。身に反して誠ならずんば、親に悅ばれず。身を誠にするに道有り。善に明らかならずんば、其の身に誠ならず。是の故に誠は、天の道なり。誠を思うは、人の道なり。至誠にして動かざる者は、未だ之れ有らざるなり。誠ならずして、未だ能く動かす者有らざるなり。」
-
徒然草・第233段万の科あらじと思はば、何事にも誠ありて、人を分かず恭しく、言葉すくなからむには如かじ。男女老少みなさる人こそよけれども、殊に若くかたちよき人の、言うるはしきは、忘れがたく思ひつかるゝものなり。よろづのとがは、馴れたるさまに上手めき、所得たるけしきして、人をないがしろにするにあり。
-
尚書・君陳至治は馨香にして、神明に感ず。黍稷は馨と非ず、明德のみ惟れ馨し。