酔古堂剣掃 / 集醒・五更の頭に撿點す
要知自家是君子小人,只於五更頭檢點,思想的是甚麼便見得。
新字:要知自家是君子小人,只於五更頭検点,思想的是甚麼便見得。
書き下し
自家の是れ君子か小人かを知らんと要せば、只だ五更の頭に於いて撿點し、思想する的是れ甚麼なるかを便ち見得ん。
現代語訳
自分が君子なのか小人なのかを知りたければ、ただ明け方の目覚めの時に点検してみることです。そのとき何を考えているかを見れば、すぐにわかります。
解説
自分の人柄を知るための、具体的で鋭い方法を示した一則です。五更は夜を五つに分けた最後の時刻で、明け方の四時前後にあたります。まだ一日の雑事に心が乱されていない、目覚めたばかりの時です。そのとき最初に心に浮かぶことが、その人の本当の関心であり、人柄だというのです。利益のことや人への恨みを考えているなら小人、人の役に立つことや道のことを考えているなら君子だということになります。『孟子』の夜気、平旦の気という考えにも通じます。明日の朝、目覚めたときに何を考えているか、試しに観察してみてください。自分の本心が思いのほかはっきり見えるかもしれません。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
君子小人自省修身本心
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『大和俗訓』巻之八・応接一君子はみづから責めて人を責めず。故に善を己に求む。小人は人を責めてみづから責めず。故に善を人にもとむ。小人は人を責むること重く、我が身を責むること軽し。人を愛すること薄く、我が身を愛すること厚し。君子は然らず。人を責むる心を以て我が身をせむれば、過すくなし。我が身を愛する心を以て人を愛するれば、仁をつくす。
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『大和俗訓』巻之七・躬行下一聖人を以てわが身を正すべし。聖人を以て人を正すべからず。凡人を以て人を許すべし。凡人を以て我が身を許すべからず。一人の悪しきをばゆるすべし。我が悪しきを人にゆるさるべからず。人の悪しきをゆるさざるは心の量せばし。我が悪しきを人にゆるされん事を思ふ人は、鄙狭の至なり。一わが身は十分に善ならん事を求むべし。人の身には十分に善ならん事を責むべからず。人に一の善あらば、又一の善を求むべからず。是一を得ば、二を求むべからざるなり。一君子は己をせむ。小人は人をせむ。己をせむれば身修まる。人をせめざれば人の恨なし。小人は此うらなり。人をせむる心を以て、我が身を責むれば、過すくなし。己をゆるす心を以て人をゆるせば、人の恨なくして、交を全くす。
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言志四録・言志晩録 第百五十条 自ら怨みを致す所以を怨む恩怨分明なるは、君子の道に非ず。徳の報ゆべきは、固よりなり。怨みに至りては、則ち当に自ら其の怨みを致す所以を怨むべし。
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『近思録』巻2 為学若し往来憧憧然として、其の私心を用ひて以て物に感ずれば、則ち思ひの及ぶ所の者は、能く感じて動く有るも、及ばざる所の者は感ずること能はざるなり。係る有るの私心を以て、既に一隅一事に主たれば、豈に能く廓然として通ぜざる所無からんや。君子の艱阻に遇ふや、必ず自ら身を省みて、失有りて之を致すかと。未だ善ならざる所有れば則ち之を改む。心に歉(あきた)らざる無ければ則ち勉めを加ふ。乃ち自ら其の徳を修むるなり。明に非ざれば則ち動くも之く所無く、動に非ざれば則ち明も用ふる所無し。習は、重ねて習ふなり。時に復た思ひ繹ねて、中に浹洽すれば、則ち説ぶなり。善を以て人に及ぼして信従する者衆し、故に楽しむべきなり。人に及ぼすことを楽しむと雖も、是とせられずして悶ゆる無きは、乃ち所謂君子なり。
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『墨子』親士昔者、文公は出で走りて天下を正し、桓公は國を去りて諸侯に霸たり、越王句踐は吳王の仇に遜りて、尚お中國の賢君を攝す。三子の能く名を達し功を天下に成せるや、皆な其の國に於て抑えられ、而して大いに醜ずかしめられたればなり。太上は敗るること無く、其の次は敗れて以て成すこと有り、此れを之れ民を用うと謂う。吾れ之を聞けらく、「安居無きに非ざるなり、我に安心無きなり。足財無きに非ざるなり、我に足心無きなり」と。是の故に君子は自らを難んじて彼を易んじ、衆人は自らを易んじて彼を難んず。君子は進んで其の志を敗らず、内に其の情を究め、庸民に雜わると雖も、終に怨心無し。彼れ自ら信ずる者有ればなり。
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『山鹿語類』士道・嚴居宅之制次に無隠処、内外相隔而自令正非僻といへり。云心は居所かくるゝ所あれば、必これによつて非礼の働おこりぬべし。居所人のみる処よりかくれず、内外を堅く隔て、男女不出入、仕官各己れが居る所を守り、老壮若しこと〴〵く相阻て、其間其坐にかくるゝ処なくんば、人誰か非僻のことをなすべきや。是居宅の制によつて自威儀たゞしかるべし。不然時は、閑居の席をまうけて、仕官のものにも隔をなし、彼我のへだて好悪のことあつて、臣更に内をうかゞはず、常に戸障子を立て我が居る所をみせしめざる、皆非僻の行ある輩の居宅と可知也。君子大丈夫更に耻る所なし。内に省みてやましからず。悉く内外通用の隠すべき所あらず。休息すべきには寝所に入るべし。寝所に入には必ず時あり。時をたがへば非礼と云べき也。されば君子は居安すからんことを不求といへり。居の安きを求むると云は、隠居所をかまへ、休息がちにして、身を利し、つとめを失ふことを戒め玉へる也。