酔古堂剣掃 / 集醒・絲毫の利を貪れば小人に陷る
積丘山之善,尚未為君子;貪絲毫之利,便陷於小人。
新字:積丘山之善,尚未為君子;貪糸毫之利,便陥於小人。
書き下し
丘山の善を積むも、尚ほ未だ君子と為さず。絲毫の利を貪れば、便ち小人に陷る。
現代語訳
丘や山ほどの善行を積み重ねても、それでもまだ君子とはいえません。ほんのわずかな利益を貪れば、たちまち小人に落ちてしまいます。
解説
君子になることの難しさと、小人に落ちることのたやすさを対比した対句です。丘山の善と糸毫の利という、極端な大小の対比が効いています。糸毫は糸や細い毛のように、ごくわずかなものを指します。善はどれほど積んでも、それで完成ということはありません。一方、小さな欲に負けると、それだけで人格の評価は一気に崩れてしまいます。信頼は長い時間をかけて築かれ、一瞬で失われるとよく言われるのと同じ道理です。わずかな経費のごまかしや、ちょっとした役得に手を出すことが、長年の努力を台無しにすることがあります。小さな誘惑にこそ気をつけるべきだという、身の引き締まる言葉です。
この章句が説くこと
君子小人名利修身節制
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