酔古堂剣掃 / 集醒・不盡の意を留む
凡情留不盡之意,則味深;凡興留不盡之意,則趣多。
新字:凡情留不尽之意,則味深;凡興留不尽之意,則趣多。
書き下し
凡そ情は不盡の意を留むれば、則ち味深し。凡そ興は不盡の意を留むれば、則ち趣多し。
現代語訳
およそ情というものは、尽くしきらない思いを残しておけば、味わいが深くなります。およそ興というものは、尽くしきらない思いを残しておけば、趣が多くなります。
解説
何事も出し尽くさず、余韻を残すことの味わいを説いた対句です。情は人への思いや愛情、興は楽しみや面白がる心です。不尽の意とは、まだ尽くしきれていない思い、つまり余白や余韻のことです。愛情も言葉も、すべてを出し切ってしまうと、あとに味わいが残りません。楽しみも、とことん遊び尽くすと飽きがきて、趣が薄れてしまいます。腹八分目や、もう少し話したいところで別れる、という感覚に通じます。菜根譚にも、事は余地を残せという趣旨の言葉があります。人付き合いでも仕事でも、やり切ることと同時に、少し余白を残しておくことで、次への楽しみや関係の深まりが生まれるのではないでしょうか。
この章句が説くこと
余韻節度風雅人情中庸
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