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孫子 / 虚実篇

進而不可禦者,沖其虛也;退而不可追者,速而不可及也。故我欲戰,敵雖高壘深溝,不得不與我戰者,攻其所必救也;我不欲戰,雖畫地而守之,敵不得與我戰者,乖其所之也。

新字:進而不可禦者,沖其虚也;退而不可追者,速而不可及也。故我欲戦,敵雖高塁深溝,不得不与我戦者,攻其所必救也;我不欲戦,雖画地而守之,敵不得与我戦者,乖其所之也。

書き下し

進みて禦ぐべからざる者は、其の虚を衝けばなり。退きて追うべからざる者は、速やかにして及ぶべからざればなり。故に我戦わんと欲すれば、敵塁を高くし溝を深くすと雖も、我と戦わざるを得ざる者は、其の必ず救う所を攻むればなり。我戦うを欲せざれば、地を画して之を守ると雖も、敵我と戦うを得ざる者は、其の之く所に乖けばなり。

現代語訳

進んで防げないのは、手薄なところを突くからである。退いて追いつかれないのは、速くて届かないからだ。こちらが戦いたいときは、敵が塁を高くし溝を深くしていても、必ず救わねばならない場所を攻めれば、出てこざるを得ない。こちらが戦いたくないときは、地面に線を引いただけの守りでも、敵の狙いを外しておけば、戦いにならない。

解説

戦うか戦わないかの主導権を、こちらが握る方法を述べている。要になるのは「攻其所必救」——相手が捨てられないものを突くという一点である。相手を動かしたければ、相手の弱点ではなく、相手が失えないものを狙う。交渉が動かないときも、争点そのものを叩くより、相手が守らざるを得ない別の場所に手を伸ばすほうが早いことがある。逆に関わりたくない相手からは、狙いをずらして接点を消す。攻めと退きの両方に同じ原理が使われている。

この一句を、あなたの毎日に。

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