孫子 / 行軍篇
卒未親附而罰之,則不服,不服則難用也;卒已親附而罰不行,則不可用也。
書き下し
卒未だ親附せずして之を罰すれば、則ち服せず、服せざれば則ち用い難きなり。卒已に親附して罰行われざれば、則ち用うべからざるなり。
現代語訳
兵がまだ将になじみ、心を寄せていないうちに罰すれば、彼らは心服せず、心服しなければ使いものにならない。逆に、兵がすっかりなじんだのに、罰すべきときに罰しなければ、これもまた使いものにならない。
解説
行軍篇で、信頼と規律の「順序とバランス」を説いた一節です。孫子は、まだ関係ができていないうちに厳しく罰しても、反発を買うだけだと言います。だが、なじんだからといって規律をゆるめれば、今度は締まりがなくなる。まず信頼を築き、そのうえで規律を保つ——順番とバランスの両方が要るのです。組織でも同じで、入って間もない人にいきなり厳しく当たれば心が離れ、かといって親しくなった相手を甘やかせば緩みます。信頼関係を先につくり、そのうえで、なあなあにせず必要な線は引く。「令之以文,齊之以武」を、人の育成の時間軸で具体化した教えです。
この章句が説くこと
親附と規律疲労管理順序とバランス人的資源信頼持久力
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