孫子 / 行軍篇
奔走而陳兵者,期也;半進半退者,誘也。
書き下し
奔走して兵を陳ぬる者は、期するなり。半ば進み半ば退く者は、誘うなり。
現代語訳
敵があわただしく走り回って兵を並べているのは、示し合わせて一斉に事を起こそうとしている印だ。半分進んで半分退くような中途半端な動きを見せるのは、こちらを誘い出そうとしているのだ。
解説
相敵の観察を続ける一節で、敵の動きから隠された意図を読み解きます。慌ただしく布陣するのは、期日を定めた総攻撃の準備。そして、進むでも退くでもない曖昧な動きは、こちらを油断させおびき寄せる罠だ、と孫子は見抜きます。中途半端な動きほど、裏に意図が潜んでいるというのです。仕事でも、相手の不自然な動き——妙に慌ただしい準備や、はっきりしない態度——には、たいてい狙いが隠れています。特に「半進半退」のような曖昧な誘いには、乗れば足をすくわれる。動きの不自然さを見逃さず、その裏の意図を問う。相手の見せる動作を、額面通りに受け取らない用心深さを、この一節は教えます。
この章句が説くこと
相敵兵站罠の察知機動効率誘い
関連する章句
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孫子・作戦篇孫子曰く、凡そ兵を用うるの法は、馳車千駟、革車千乗、帯甲十万、千里に糧を饋る。則ち内外の費、賓客の用、膠漆の材、車甲の奉、日に千金を費やし、然る後に十万の師挙がるなり。
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三略・上略軍讖に曰く、兵を用うるの要は、必ず先ず敵情を察し、其の倉庫を視、其の糧食を度り、其の強弱を卜し、其の天地を察し、其の空隙を伺う、と。故に国に軍旅の難無くして糧を運ぶ者は、虚なり。民に菜色ある者は、窮なり。千里に糧を饋れば、士に飢色有り。樵蘇して後に爨げば、師は宿として飽かず。夫れ糧を千里に運びて一年の食無く、二千里にして二年の食無く、三千里にして三年の食無きを、是を国虚と謂う。国虚なれば、則ち民貧し。民貧しければ、則ち上下親しまず。敵は其の外を攻め、民は其の内に盗む。是を必潰と謂う。
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