呻吟語 / 外篇・人情・箝口計
人情之險也,極矣。一令貪,上官欲論之而事泄,彼陽以他事得罪,上官避嫌,遂不敢論,世謂之箝口計。
新字:人情之険也,極矣。一令貪,上官欲論之而事泄,彼陽以他事得罪,上官避嫌,遂不敢論,世謂之箝口計。
書き下し
人情の險なるや、極まれり。一令貪なり。上官之を論ぜんと欲して事泄る。彼陽に他事を以て罪を得。上官嫌を避け、遂に敢へて論ぜず。世之を箝口計と謂ふ。
現代語訳
人の情の険しさは極まっています。ある県令が貪欲でした。上官が処分しようとして話が漏れました。その県令は表向き別の件で罪を得ました。上官は嫌疑を避けて、ついに処分できませんでした。世の人はこれを口を挟む計と言います。
解説
処分を免れる手口を、実例として記します。処分されると知った者が、自分から別件で軽い罪を受けます。すると上官は、報復だと疑われるのを避けて本件を扱えなくなります。相手の潔癖さを逆手に取った計略です。名前まで付いているので、当時よく使われた手だと分かります。人情の険しさを示す具体例になっています。相手の潔癖さを、逆手に取った計略になっています。
この章句が説くこと
箝口計逆手嫌疑処分手口
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