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呻吟語 / 外篇・治道・智名勇功無きを第一と為す

為政要使百姓大家相安,其大利害當興革者不過什一,外此只宜行所無事,不可有意立名建功以求烜赫之譽。故君子之建白,以無智名勇功為第一。至於雷厲風行,未嘗不用,譬之天道然,以沖和鎮靜為常,疾風迅雷間用之而已。

新字:為政要使百姓大家相安,其大利害当興革者不過什一,外此只宜行所無事,不可有意立名建功以求烜赫之誉。故君子之建白,以無智名勇功為第一。至於雷厲風行,未嘗不用,譬之天道然,以沖和鎮静為常,疾風迅雷間用之而已。

書き下し

政を為すには百姓をして大家相ひ安んぜしむるを要す。其の大利害の當に興革すべき者は什の一に過ぎず。此を外にしては只だ宜しく事無き所を行ふべし。有意に名を立て功を建てて以て烜赫の譽を求む可からず。故に君子の建白は、智名勇功無きを以て第一と為す。雷厲風行に至りては、未だ嘗て用ひずんばあらず。之を天道に譬ふれば然り。沖和鎮靜を以て常と為し、疾風迅雷は間ま之を用ふるのみ。

現代語訳

政治を行うには、民が互いに安んじるようにすることが必要です。大きな利害で興し改めるべきものは十のうち一にすぎません。それ以外はただ事の無いところを行うべきです。意図して名を立て功を立てて、輝かしい誉れを求めてはいけません。だから君子の建言は、智恵の名も勇の功も無いことを第一とします。雷のように激しく風のように速く行うことも、用いないわけではありません。天の道に譬えればそうです。和やかで静かなのを常として、疾い風と速い雷はたまに用いるだけです。

解説

改めるべきことが十のうち一だと見積もります。残りの九は、余計なことをしない領域です。そして建言の理想が示されます。智恵の名も勇の功も無いこと。誰も気づかないうちに済んでいる状態です。ただし激しい手を否定はしません。天の道が和やかさを常として雷をたまに使うように、割合の問題として整理されています。必要な手だけを見分ける、という構えになっています。

この章句が説くこと

十一無事無名割合天道

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