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呻吟語 / 外篇・治道・孤掌鳴らんと欲す

天下事,不是一人做底,故舜五臣,周十亂,其餘所用皆小德小賢,方能興化致治。天下事,不是一時做底,故堯、舜相繼百五十年,然後黎民於變。文、武、周公相繼百年,然後教化大行。今無一人談治道,而孤掌欲鳴。一人倡之,眾人從而詆訾之;一時作之,後人從而傾記之。嗚呼!世道終不三代耶?振教鐸以化,吾儕得數人焉,相引而在事權,庶幾或可望乎?

新字:天下事,不是一人做底,故舜五臣,周十乱,其余所用皆小徳小賢,方能興化致治。天下事,不是一時做底,故堯、舜相継百五十年,然後黎民於変。文、武、周公相継百年,然後教化大行。今無一人談治道,而孤掌欲鳴。一人倡之,眾人従而詆訾之;一時作之,後人従而傾記之。嗚呼!世道終不三代耶?振教鐸以化,吾儕得数人焉,相引而在事権,庶幾或可望乎?

書き下し

天下の事は、是れ一人の做す底に非ず。故に舜に五臣、周に十亂あり。其の餘用ふる所は皆な小德小賢なるも、方めて能く化を興し治を致す。天下の事は、是れ一時の做す底に非ず。故に堯・舜相ひ繼ぐこと百五十年、然る後に黎民變に於てす。文・武・周公相ひ繼ぐこと百年、然る後に教化大いに行はる。今一人として治道を談ずる無くして、孤掌鳴らんと欲す。一人之を倡ふれば、眾人從ひて之を詆訾す。一時之を作せば、後人從ひて之を傾記す。嗚呼、世道終に三代ならざるか。教鐸を振るひて以て化せば、吾が儕數人を得て、相ひ引きて事權に在らば、庶幾はくは或いは望む可きか。

現代語訳

天下の事は一人でするものではありません。だから舜に五人の臣があり、周に十人の乱を治める臣がありました。その他に用いたのはみな小さな徳と小さな賢さの人ですが、それでようやく教化を興し治を致せました。天下の事は一時でするものではありません。だから堯と舜が相継ぐこと百五十年、その後に民が変わりました。文王武王周公が相継ぐこと百年、その後に教化が大いに行われました。今は誰も治の道を語らないのに、片手だけで鳴らそうとします。一人が唱えれば、大勢が従ってそしります。一時に起こせば、後の人が従って覆します。ああ、世の道はついに三代のようにならないのでしょうか。教えの鐸を振って化すなら、我らが数人を得て、互いに引き合って実権の場にいれば、望みがあるでしょうか。

解説

天下の事に要る条件を、人数と時間で示します。舜には五臣、周には十人。しかも残りは小さな徳と賢さの人でした。そして時間は百年から百五十年。どちらも一人一代では届きません。それなのに今は誰も語らず、片手で鳴らそうとしている。一人が唱えればそしられ、起こせば後で覆される。最後は仲間を得て実権の場にいればという願望で締められています。

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