呻吟語 / 外篇・品藻・吉に趨き凶を避くるは惑へり
為善去惡是,趨吉避凶惑矣。陰陽異端之說也,祀非類之鬼,禳白致之災,祈難得之福,泥無損益之時,日宗趨避之邪術。悲夫!愚民之抵死而不悟也。即悟之者,亦狃天下皆然,而不敢異。至有名公大人,尤極信尚。嗚呼!反經以正邪慝,將誰望哉?
新字:為善去悪是,趨吉避凶惑矣。陰陽異端之説也,祀非類之鬼,禳白致之災,祈難得之福,泥無損益之時,日宗趨避之邪術。悲夫!愚民之抵死而不悟也。即悟之者,亦狃天下皆然,而不敢異。至有名公大人,尤極信尚。嗚呼!反経以正邪慝,将誰望哉?
書き下し
善を為し惡を去るは是なり、吉に趨き凶を避くるは惑へり。陰陽異端の說なり。類に非ざるの鬼を祀り、白に致すの災を禳ひ、得難きの福を祈り、損益無きの時日に泥み、趨避の邪術を宗とす。悲しいかな、愚民の死に抵るまで悟らざるや。即ち之を悟る者も、亦た天下皆な然るに狃れて敢へて異ならず。名公大人に至りて、尤も極めて信尚する有り。
現代語訳
善をなし悪を去るのは正しく、吉に走り凶を避けるのは迷いです。陰陽や異端の説です。自分の血筋でない鬼を祭り、自分で招いた災いを祓い、得がたい福を祈り、損も益も無い日取りにこだわり、吉凶を追い避ける邪な術を宗とします。悲しいことです。愚かな民が死ぬまで悟らないのは。たとえ悟った者でも、世じゅうがそうしているのに馴れて、あえて違うことをしません。名のある高位の人に至っては、なおさら深く信じ尊びます。
解説
善悪と吉凶を、まったく別のものとして切り分けます。善悪は正しく、吉凶を追うのは迷い。そして迷信の内訳が四つ並べられます。血筋でない鬼の祭祀、自分で招いた災いの祓い、日取りへのこだわり。とくに最後の指摘が鋭く、悟った者も大勢に馴れて従い、高位の人ほど深く信じるとされます。悟った者も大勢に馴れて従う、という指摘が鋭い。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
迷信吉凶善悪日取り同調
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