呻吟語 / 外篇・品藻・名を好むの心之を為す
好名之人充其心,父母兄弟妻子都顧不得,何者?名無兩成,必相形而後顯。葉人證父攘羊,陳仲子惡兄受鵝,周澤奏妻破戒,皆好名之心為之也。
新字:好名之人充其心,父母兄弟妻子都顧不得,何者?名無両成,必相形而後顕。葉人證父攘羊,陳仲子悪兄受鵝,周沢奏妻破戒,皆好名之心為之也。
書き下し
名を好むの人は其の心を充たさば、父母兄弟妻子も都て顧み得ず。何となれば、名は兩つながら成らず、必ず相形して而る後に顯はるればなり。葉人の父の羊を攘むを證し、陳仲子の兄の鵝を受くるを惡み、周澤の妻の戒を破るを奏するは、皆な名を好むの心之を為すなり。
現代語訳
名を好む人がその心を満たそうとすれば、父母も兄弟も妻子も顧みられなくなります。なぜなら名は二人ともには成り立たず、必ず相手と比べて初めて現れるからです。葉の人が父の羊泥棒を証言し、陳仲子が兄の鵝の贈り物を憎み、周澤が妻の戒めを破ったことを奏上したのは、みな名を好む心がさせたことです。
解説
名声の構造を、比較でしか成り立たないことに求めます。だから名を求めれば、必ず身近な誰かを落とすことになります。三つの例はどれも身内を告発した有名な話で、正義の行いに見えて名を求める心から出ていた、と。名声が身内を犠牲にする仕組みを、具体例で示した一段です。名声が身内を犠牲にする仕組みを、具体例で示しています。
この章句が説くこと
名声比較身内告発動機
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