呻吟語 / 内篇・應務・己を人に公にす
公人易,公己難;公己易,公己於人難;公已於人易,忘人己之界而不知我之為誰難。公人處,人能公者也;公已處,己亦公者也。至於公己於人,則不以我為嫌時,當貴我富我。
新字:公人易,公己難;公己易,公己於人難;公已於人易,忘人己之界而不知我之為誰難。公人処,人能公者也;公已処,己亦公者也。至於公己於人,則不以我為嫌時,当貴我富我。
書き下し
人を公にするは易く、己を公にするは難し。己を公にするは易く、己を人に公にするは難し。己を人に公にするは易く、人己の界を忘れて我の誰爲るを知らざるは難し。人を公にする處は、人能く公なる者なり。己を公にする處は、己も亦た公なる者なり。己を人に公にするに至りては、則ち我を以て嫌と為さず。當に我を貴くし我を富ますべし。
現代語訳
人を公平に扱うのは易しく、自分を公平に扱うのは難しい。自分を公平に扱うのは易しく、自分を人に対して公平に置くのは難しい。自分を人に対して公平に置くのは易しく、人と自分の境を忘れて自分が誰かも分からなくなるのは難しい。人を公平にするのは、人が公平にできることです。自分を公平にするのも、自分に公平さがあればできます。自分を人に対して公平に置くとなれば、自分を特別扱いしないということです。そのときは自分を貴くし富ませてよいのです。
解説
公けであることを四段に分け、難しさを順に上げていきます。人を公平に、自分を公平に、自分を人の中に置いて公平に、そして自他の境を忘れる。最後の段が最も難しく、自分が誰かも分からなくなるとされます。同じ公という一字でも、届く範囲でこれほど難度が変わるという整理になっています。同じ公という一字でも、届く範囲で難度が変わります。
この章句が説くこと
公四段自他境難度
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