呻吟語 / 内篇・應務・識・才・力・氣・身の餘り
識有餘,理感而即透;才有餘,事感而即辦;力有餘,任感而即勝;氣有餘,變感而不震;身有餘,內外感而不病。
新字:識有余,理感而即透;才有余,事感而即辦;力有余,任感而即勝;気有余,変感而不震;身有余,内外感而不病。
書き下し
識餘り有れば、理感じて即ち透る。才餘り有れば、事感じて即ち辦ず。力餘り有れば、任感じて即ち勝ふ。氣餘り有れば、變感じて震はず。身餘り有れば、內外感じて病まず。
現代語訳
見識に余りがあれば、理に触れてすぐ見通せます。才に余りがあれば、事に触れてすぐ処理できます。力に余りがあれば、任に触れてすぐ堪えられます。気に余りがあれば、変事に触れても震えません。身に余りがあれば、内外の刺激に触れても病みません。
解説
余りを五つの項目に分け、それぞれの効き目を示します。識は見通し、才は処理、力は耐久、気は動じなさ、身は健康。どれも足りていれば触れた瞬間に応じられる、というのが共通しています。余裕とは反応の速さを支える蓄えだということになります。自分のどこに余りが無いかを測る、五項目の点検表です。余裕とは、反応の速さを支える蓄えだということです。
この章句が説くこと
余り識才力気身反応点検蓄え
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・應務・不足を以て感に當たる我に餘り有れば、則ち以て天下の感に當たるに足る。不足を以て感に當たらば、未だ困しまざる者有らず。
-
『呻吟語』内篇・應務・餘無ければ便ち救性無し人に處し、已に處し、事に處するは都て餘り有るを要す。餘無ければ便ち救性無し。此の裡甚だ言ひ難し。
-
『呻吟語』内篇・修身・餘氣有れば便ち受用の處有り人生餘氣有るを得ば、便ち受用の處有り。言は口說を盡くし、事は意做を盡くす、此れは是れ薄命の子なり。
-
『呻吟語』内篇・應務・達權と長慮將に事あらんとして能く弭め、事に當たりて能く救ひ、既に事ありて能く挽く、此れを之れ達權と謂ひ、此れを之れ才と謂ふ。未だ事あらざるに其の來たるを知り、事を始めて其の終はりを要し、事定まりて其の變を知る、此れを之れ長慮と謂ひ、此れを之れ識と謂ふ。
-
『呻吟語』内篇・修身・大事難事は擔當を看る大事難事は擔當を看、逆境順境は襟度を看、喜に臨み怒に臨むは涵養を看、群行群止は識見を看る。
-
『呻吟語』内篇・應務・心神定まり、心氣足る大事に當たるは、心神定まり、心氣足るを要す。