呻吟語 / 内篇・修身・損ずるは甚の體ぞ
今人苦不肯謙,只要拿得架子定,以為存體。夫子告子張從政,以無小大、無眾寡、無敢慢為不驕,而周公為相,吐握下白屋甚者。父師有道之君,子不知損了甚體?若名分所在,自是貶損不得。
新字:今人苦不肯謙,只要拿得架子定,以為存体。夫子告子張従政,以無小大、無眾寡、無敢慢為不驕,而周公為相,吐握下白屋甚者。父師有道之君,子不知損了甚体?若名分所在,自是貶損不得。
書き下し
今人苦だ謙るを肯んぜず。只だ架子を拿へ得て定まり、以て體を存すと為す。夫子子張に政に從ふを告ぐるに、小大と無く眾寡と無く敢へて慢る無きを以て驕らずと為す。而して周公相と為りて、吐握して白屋に下ること甚だし。父師有道の君、知らず甚の體をか損ぜしや。若し名分の在る所ならば、自ら是れ貶損し得ず。
現代語訳
今の人はどうしてもへりくだろうとしません。ただ体裁を掴んで動かず、それで体面を保っていると思っています。孔子が子張に政に従う道を告げたときは、大小や多寡を問わずあえて侮らないことを驕らないこととしました。周公は宰相でありながら、食事を吐き出し髪を握ったまま、粗末な家の者にまで身を低くしました。父であり師であり道を得た君主でありながら、それで一体どんな体面を損なったでしょうか。ただ名分のある場では、身分を勝手に下げることはできません。
解説
体面を守るためにへりくだらない態度を、周公の例で崩します。宰相が食事を中断し髪を握ったまま賓客に会っても、体面は何も損なわれなかった、と。反語で締めるので反論の余地がありません。そして最後に、名分の場では別だと但し書きを添えます。謙ることと、守るべき位を崩すことは違うという線引きです。謙ることと、守るべき位を崩すことは別だという線引きです。
この章句が説くこと
謙遜体面周公名分驕り
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