呻吟語 / 内篇・修身・愈いよ辨ずれば愈いよ加はる
受不得誣謗,只是無識度。除是當罪臨刑,不得含冤而死,須是辯明。若污蔑名行,閒言長語,愈辨則愈加,徒自憤懑耳。
新字:受不得誣謗,只是無識度。除是当罪臨刑,不得含冤而死,須是弁明。若污蔑名行,閒言長語,愈弁則愈加,徒自憤懑耳。
書き下し
誣謗を受け得ざるは、只だ是れ識度無きなり。除は是れ罪に當たり刑に臨み、冤を含みて死するを得ざれば、須らく是れ辯明すべし。若し名行を污蔑し、閒言長語ならば、愈いよ辨ずれば則ち愈いよ加はる。徒らに自ら憤懣するのみ。
現代語訳
濡れ衣を受け止められないのは、ただ見識と度量が無いからです。ただし罪に問われ刑に臨み、冤罪のまま死ぬわけにいかない場合は、必ず弁明すべきです。しかし名や行いを汚す噂話や長々とした陰口については、弁明すればするほど増えていきます。無駄に自分が憤るだけです。
解説
弁明すべき場合と、してはならない場合を分けます。命や罪に関わるなら弁明せよ、噂話なら弁明するなと。理由も明快で、噂は弁明するほど増えるからです。前に出てきた、疑わしい跡があるなら弁明せよという段と、誹りには自ら修めるだけだという段を、ここで一つに整理した形になっています。何を守るための弁明かで、取るべき態度が変わるということです。
この章句が説くこと
誣謗弁明噂度量区別
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