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呻吟語 / 内篇・修身・百人の善を集む

世人喜言無好人,此孟浪語也。今且不須擇人,只於市井稠人中聚百人而各取其所長,人必有一善,集百人之善可以為賢人;人必有一見,集百人之見可以決大計。恐我於百人中未必人人高出之也,而安可忽匹夫匹婦哉?

新字:世人喜言無好人,此孟浪語也。今且不須択人,只於市井稠人中聚百人而各取其所長,人必有一善,集百人之善可以為賢人;人必有一見,集百人之見可以決大計。恐我於百人中未必人人高出之也,而安可忽匹夫匹婦哉?

書き下し

世人は好人無しと言ふを喜ぶ。此れ孟浪の語なり。今且く人を擇ぶを須ひず、只だ市井稠人の中に於て百人を聚めて各おの其の長ずる所を取らば、人必ず一善有り、百人の善を集めば以て賢人と為す可し。人必ず一見有り、百人の見を集めば以て大計を決す可し。恐らくは我は百人の中に於て未だ必ずしも人人之より高く出でざらん。安くんぞ匹夫匹婦を忽せにす可けんや。

現代語訳

世の人は、良い人などいないと言いたがります。これは根拠のない言葉です。今は特に人を選ぶまでもなく、町の雑踏の中から百人を集めてそれぞれの長所を取れば、必ず一つずつ善い所があり、百人分の善を集めれば賢人を作れます。必ず一つずつ見識があり、百人分の見識を集めれば大きな計画を決められます。おそらく私は、その百人の一人一人より必ず優れているわけではありません。どうして普通の男女を軽んじてよいでしょうか。

解説

良い人がいないという嘆きに、数の話で答えます。無作為に百人集めても、一人一つずつ善と見識があり、合わせれば賢人と大計になる。そして最後に自分もその百人より優れているとは限らないと付け加えます。集合知の考え方をそのまま述べた四百年前の文章であり、人を選ぶ前に集めよという実務的な示唆にもなっています。人がいないのではなく、集めていないだけなのです。

この章句が説くこと

衆知長所集合庶民謙虚

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