呻吟語 / 内篇・談道・第一步十分に理會せずんば、第二步を說かず
大道有一條正路,進道有一定等級。聖人教人只示以一定之成法,在人自理會;理會得一步,再說與一步,其第一步不理會到十分,也不說與第二步。非是苦人,等級原是如此。第一步差一寸,也到第二步不得。孔子於賜,才說與他「一貫」,又先難他「多學而識」一語。至於仁者之事,又說:「賜也,非爾所及。」今人開口便講學脈,便說本體,以此接引後學,何似癡人前說夢?孔門無此教法。
新字:大道有一条正路,進道有一定等級。聖人教人只示以一定之成法,在人自理会;理会得一歩,再説与一歩,其第一歩不理会到十分,也不説与第二歩。非是苦人,等級原是如此。第一歩差一寸,也到第二歩不得。孔子於賜,才説与他「一貫」,又先難他「多学而識」一語。至於仁者之事,又説:「賜也,非爾所及。」今人開口便講学脈,便説本体,以此接引後学,何似癡人前説夢?孔門無此教法。
書き下し
大道に一條の正路有り、道に進むに一定の等級有り。聖人の人に教ふるは只だ示すに一定の成法を以てし、人の自ら理會するに在り。一步を理會し得れば、再び說きて一步を與ふ。其の第一步十分に理會せずんば、也た第二步を說き與へず。是れ人を苦しむるに非ず、等級原と是くのごとし。第一步一寸を差へば、也た第二步に到り得ず。孔子の賜に於けるや、才かに說きて他に「一貫」を與ふるに、又先づ他を「多學して識る」の一語もて難ず。仁者の事に至りては、又說く、「賜や、爾の及ぶ所に非ず」と。今の人は口を開けば便ち學脈を講じ、便ち本體を說く。此を以て後學を接引す、何ぞ癡人の前に夢を說くに似たる。孔門に此の教法無し。
現代語訳
大いなる道には一本の正しい路があり、道に進むには決まった段階があります。聖人が人に教えるのは、ただ定まったやり方を示して、本人が自分で理解するのに任せることです。一段を理解できれば、次の一段を説いて与えます。第一段を十分に理解していなければ、第二段は説いて与えません。人を苦しめるのではなく、段階がもともとそうなのです。第一段が一寸違えば、第二段には届きません。孔子は子貢に一貫を説こうとして、まず多く学んで覚えているのか、と問いかけました。仁者のことに至っては、賜よ、それはお前の及ぶところではない、と言いました。今の人は口を開けばすぐ学問の系譜を論じ、すぐ本体を説きます。これで後進を導くのは、愚か者の前で夢を語るようなものです。孔門にこんな教え方はありません。
解説
この章句が説くこと
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