呻吟語 / 内篇・存心・心に一事の累ひ無く、物に十分の春有り
心無一事累,物有十分春。
書き下し
心に一事の累ひ無く、物に十分の春有り。
現代語訳
心に一つの煩わしさもなければ、物のほうに十分の春があります。
解説
心の状態と外の世界の見え方が、一対一で結ばれます。煩いが無ければ、目に映る物のほうが春に満ちている、と。春が増えたのではなく、見えるようになったのです。前に置かれた、洗い清めれば天地に一つの塵も見えない、という一段と同じ構えで、外界を自分の心の写しとして描く見方が、わずか十二字で示されています。煩いを一つ減らすたびに、見える春が増えていくという読み方もできます。
この章句が説くこと
無累春映し景色心境
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