呻吟語 / 内篇・存心・只だ此の一念公正なれば
只此一念公正了,我於天地鬼神通是一個,而鬼神之有邪氣者,且跧伏退避之不暇。庶民何私何怨,而忍枉其是非腹誹巷議者乎?
新字:只此一念公正了,我於天地鬼神通是一個,而鬼神之有邪気者,且跧伏退避之不暇。庶民何私何怨,而忍枉其是非腹誹巷議者乎?
書き下し
只だ此の一念公正なれば、我は天地鬼神に於いて通じて是れ一個なり。而して鬼神の邪氣有る者は、且つ跧伏退避するに暇あらず。庶民何の私か何の怨みかありて、忍びて其の是非を枉げ、腹誹巷議する者あらんや。
現代語訳
ただこの一つの思いが公正であれば、私は天地の神々と通じて一つになります。そうなれば邪な気を帯びた鬼神も、身を縮めて逃げるいとまもありません。ましてや民衆に、どんな私心やどんな怨みがあって、平気で是非を曲げ、腹の中で謗り路地でうわさするでしょうか。
解説
一つの思いが公正であることの効き目が、上と下に向かって語られます。上に向かっては天地の神々と一つになり、邪な気は逃げる。下に向かっては民衆が是非を曲げず、陰口を言わなくなる。陰口を取り締まるのではなく、こちらの一念を正すことで消えるという順序です。腹誹巷議という語が、聞こえない場所での不満を的確に指しています。
この章句が説くこと
一念公正鬼神腹誹上下
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