司馬法 / 嚴位
人方有性,性州異,教成俗,俗州異,道化俗。凡眾寡,既勝若否。兵不告利,甲不告堅,車不告固,馬不告良,眾不自多,未獲道。
新字:人方有性,性州異,教成俗,俗州異,道化俗。凡衆寡,既勝若否。兵不告利,甲不告堅,車不告固,馬不告良,衆不自多,未獲道。
書き下し
人方(まさ)に性有り、性は州ごとに異なり、教えは俗を成し、俗は州ごとに異なり、道は俗を化す。凡そ衆寡は、既に勝つも否ざるが若くす。兵は利を告げず、甲は堅きを告げず、車は固きを告げず、馬は良きを告げず、衆は自ら多しとせず、未だ道を獲ざればなり。
現代語訳
(陣を布かせ、人を用いることが難しいのであって……)人にはそれぞれ本性があり、その本性は地方ごとに異なる。教えが風俗をつくり、風俗も地方ごとに異なる。道がその風俗を感化する。およそ兵の多少にかかわらず、勝ったあとでもまだ勝っていないかのように振る舞う。兵器が鋭いと言わず、甲冑が堅いと言わず、兵車が頑丈だと言わず、馬が良いと言わず、兵が多いと自ら誇らない。まだ(本当の)道を得ていないと考えるからである。
解説
人の本性は地方ごとに違い、教えが風俗をつくり、道がその風俗を感化する、と人を治める難しさを述べたうえで、勝ったあとの心構えを説く一節である。直前には、陣を布くことより人を陣に従わせることが難しく、知ることより行うことが難しい、という句がある。土地ごとに気質の違う兵をまとめるには、画一的な号令ではなく、教えと道によって風俗そのものを変えていく必要がある。後半では、勝ってもまだ勝っていないかのように振る舞い、兵器も甲冑も兵の数も誇らないのは、まだ道を得ていないと考えるからだとする。慢心を戒める言葉である。拠点ごとに気風の違う組織をまとめる難しさは今も同じで、成功したときほど装備や人数を誇らず、足りないものを探す姿勢が次の勝ちにつながる。
関連する章句
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