司馬法 / 仁本
敵若傷之,醫藥歸之。”既誅有罪,王及諸侯修正其國,舉賢立明,正復厥職。王、霸之所以治諸侯者六:以土地形諸侯;以政令平諸侯;以禮信親諸侯;以材力說諸侯;以謀人維諸侯;以兵革服諸侯。
新字:敵若傷之,医薬帰之。”既誅有罪,王及諸侯修正其国,舉賢立明,正復厥職。王、覇之所以治諸侯者六:以土地形諸侯;以政令平諸侯;以礼信親諸侯;以材力説諸侯;以謀人維諸侯;以兵革服諸侯。
書き下し
敵若し之を傷つけば、医薬して之を帰せ」と。既に有罪を誅すれば、王及び諸侯其の国を修正し、賢を挙げ明を立て、厥(そ)の職を正し復す。王・覇の諸侯を治むる所以の者は六。土地を以て諸侯を形し、政令を以て諸侯を平らげ、礼信を以て諸侯を親しみ、材力を以て諸侯を説(よろこ)ばし、謀人を以て諸侯を維(つな)ぎ、兵革を以て諸侯を服す。
現代語訳
(冢宰の軍令の続き)敵兵が傷ついたら、医薬で手当てして送り返せ」。罪ある者を誅したあと、王と諸侯はその国を正し整え、賢者を登用し明君を立て、その官職を正して元に戻す。王者や覇者が諸侯を治める方法は六つある。土地の配分によって諸侯の形勢を定め、政令によって諸侯を公平に治め、礼と信によって諸侯と親しみ、才能と力(を用いること)によって諸侯を喜ばせ、謀を立てる人材によって諸侯をつなぎとめ、武力によって諸侯を服従させる。
解説
征伐の軍令を、傷ついた敵兵を治療して帰せという言葉で結び、戦後の処置と諸侯を治める六つの方法へと移る一節である。罪ある者を討ったら、その国を滅ぼすのではなく、賢者を挙げて職を正し、元の秩序に戻す。戦の目的が懲罰と回復にあり、征服にはないことがわかる。六つの方法は土地・政令・礼信・材力・謀人・兵革の順に並び、武力は最後に置かれている。まず仕組みと信頼で治め、力は最後の手段とする順序そのものが、司馬法の考え方を示している。周の封建秩序を前提にした議論だが、組織運営に置き換えても意味は通る。問題を起こした部署を処分した後は立て直しまでが責任であり、人を動かす手段も、権限や強制より先に制度と信頼を整えるべきなのである。
関連する章句
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司馬法・仁本六徳は時を以て合わせ教え、以て民紀の道と為すなり。古よりの政なり。先王の治は、天の道に順い、地の宜しきを設け、民の徳を官(つかさど)らせ、而して名を正し物を治め、国を立て職を弁じ、爵を以て禄を分かつ。諸侯説(よろこ)び懐き、海外来たり服し、獄弭(や)みて兵寝(や)む、聖徳の治なり。其の次は、賢王礼楽法度を制し、乃ち五刑を作り、甲兵を興して、以て不義を討つ。方を巡狩し、諸侯を会し、同じからざるを考う。其の命を失い常を乱し、徳に背き天に逆らう時有りて、有功の君を危うくせば、偏(あまね)く諸侯に告げ、罪有るを彰明す。乃ち皇天上帝、日月星辰に告げ、后土・四海の神祇、山川・冢社に禱り、乃ち先王に造(いた)る。然る後に冢宰(ちょうさい)師を諸侯に徴して曰く、「某国不道を為す、之を征せよ。某年月日を以て、師は某国に至り天子に会して刑を正せ」と。冢宰百官と令を軍に布きて曰く、「罪人の地に入らば、神祇を暴(あら)すこと無かれ、田猟を行うこと無かれ、土功を毀つこと無かれ、牆屋を燔(や)くこと無かれ、林木を伐ること無かれ、六畜・禾黍・器械を取ること無かれ。
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司馬法・定爵国に居りては和し、軍に在りては法あり、刃上には察す。国に居りては好を見し、軍に在りては方を見し、刃上には信を見す。凡そ陳は、行くには惟れ疏(そ)に、戦うには惟れ密に、兵は惟れ雑う。人の教え厚ければ、静かにして乃ち治まり、威利章(あき)らかなり。相守るに義あれば、則ち人勉め、慮多く成れば、則ち人服す。時中に服し、厥の次治まる。物既に章らかなれば、目乃ち明らかなり。慮既に定まれば、心乃ち強し。進退に疑い無く、敵を見て謀る無し。誅を聴きては、其の名を誰(と)うこと無く、其の旗を変うること無かれ。凡そ事は、善なれば則ち長く、古に因れば則ち行われ、誓い作(おこ)りて章らかなれば、人乃ち強く、厲祥を滅ぼす。厲を滅ぼすの道は、一に曰く義、之を被(おお)うに信を以てし、之に臨むに強を以てし、基を成し、天下の形を一にし、人説ばざる莫し、是れを兼ねて其の人を用うと謂う。一に曰く権、其の溢るるを成し、其の好むところを奪い、我は其の外よりし、自ら其の内よりせしむ。一に曰く人、二に曰く正、三に曰く辞、四に曰く巧、五に曰く火、六に曰く水、七に曰く兵、是れを七政と謂う。栄、利、恥、死、是れを四守と謂う。容色積威は、意を改むるに過ぎず、凡そ此れ道なり。唯だ仁のみ親しむ有り、仁有りて信無ければ、反って厥の身を敗る。人は人とし、正は正とし、辞は辞とし、火は火とす。凡そ戦いの道は、既に其の気を作し、因りて其の政を発し、之に仮すに色を以てし、之を道(みちび)くに辞を以てし、懼れに因りて戒め、欲に因りて事とし、敵を蹈み地を制し、職を以て之に命ず、是れを戦法と謂う。凡そ人の形は、衆の求むるに由り、試みるに名行を以てし、必ず善く之を行う。若し行わんとして行わざれば、身以て之を将い、若し行わんとして行えば、因りて忘るること勿からしめ、三たびして乃ち章を成す。人生の宜しき、之を法と謂う。
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司馬法・仁本天下既に平らぎ、天子大いに愷(がい)し、春は蒐(しゅう)し秋は獮(せん)す。諸侯は春に旅を振い、秋に兵を治む。戦を忘れざる所以なり。古は、奔るを逐うこと百歩を過ぎず、綏(すい)を縦(お)うこと三舎を過ぎず、是を以て其の礼を明らかにす。不能を窮めずして傷病を哀憐す、是を以て其の義を明らかにす。列を成して皷(こ)す、是を以て其の信を明らかにす。
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司馬法・定爵凡そ乱を治むるの道は、一に曰く仁、二に曰く信、三に曰く直、四に曰く一、五に曰く義、六に曰く変、七に曰く尊。
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司馬法・仁本之を会して禁を発する者は九。弱きに憑(よ)り寡きを犯せば則ち之を眚(はぶ)く。賢を賊(そこな)い民を害すれば則ち之を伐つ。内に暴にして外を陵(しの)げば則ち之を壇(せん)す。野荒れ民散ずれば則ち之を削る。固きを負みて服せざれば則ち之を侵す。其の親を賊殺すれば則ち之を正す。其の君を放弒(ほうしい)すれば則ち之を残(ほろ)ぼす。令を犯し政を陵げば則ち之を杜(ふさ)ぐ。外内乱れ、禽獣の行いあれば、則ち之を滅ぼす。
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司馬法・仁本又能く服するを舎(ゆる)す、是を以て其の勇を明らかにす。
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