司馬法 / 仁本
六德以時合教,以為民紀之道也。自古之政也。先王之治,順天之道;設地之宜;官民之德;而正名治物;立國辨職,以爵分祿。諸侯說懷,海外來服,獄弭而兵寢,聖德之治也。其次,賢王制禮樂法度,乃作五刑,興甲兵,以討不義。巡狩者方,會諸侯,考不同。其有失命亂常,背德逆天之時,而危有功之君,偏告于諸侯,彰明有罪。乃告于皇天上帝,日月星辰,禱于后土四海神祇,山川冢社,乃造于先王。然後冢宰徵師于諸侯曰:“某國為不道,征之。以某年月日,師至于某國會天子正刑。”冢宰與百官布令於軍曰:“入罪人之地,無暴神祇,無行田獵,無毀土功,無燔牆屋,無伐林木,無取六畜、禾黍、器械。
新字:六徳以時合教,以為民紀之道也。自古之政也。先王之治,順天之道;設地之宜;官民之徳;而正名治物;立国弁職,以爵分禄。諸侯説懐,海外来服,獄弭而兵寝,聖徳之治也。其次,賢王制礼楽法度,乃作五刑,興甲兵,以討不義。巡狩者方,会諸侯,考不同。其有失命乱常,背徳逆天之時,而危有功之君,偏告于諸侯,彰明有罪。乃告于皇天上帝,日月星辰,祷于后土四海神祇,山川冢社,乃造于先王。然後冢宰徴師于諸侯曰:“某国為不道,征之。以某年月日,師至于某国会天子正刑。”冢宰与百官布令於軍曰:“入罪人之地,無暴神祇,無行田猟,無毀土功,無燔牆屋,無伐林木,無取六畜、禾黍、器械。
書き下し
六徳は時を以て合わせ教え、以て民紀の道と為すなり。古よりの政なり。先王の治は、天の道に順い、地の宜しきを設け、民の徳を官(つかさど)らせ、而して名を正し物を治め、国を立て職を弁じ、爵を以て禄を分かつ。諸侯説(よろこ)び懐き、海外来たり服し、獄弭(や)みて兵寝(や)む、聖徳の治なり。其の次は、賢王礼楽法度を制し、乃ち五刑を作り、甲兵を興して、以て不義を討つ。方を巡狩し、諸侯を会し、同じからざるを考う。其の命を失い常を乱し、徳に背き天に逆らう時有りて、有功の君を危うくせば、偏(あまね)く諸侯に告げ、罪有るを彰明す。乃ち皇天上帝、日月星辰に告げ、后土・四海の神祇、山川・冢社に禱り、乃ち先王に造(いた)る。然る後に冢宰(ちょうさい)師を諸侯に徴して曰く、「某国不道を為す、之を征せよ。某年月日を以て、師は某国に至り天子に会して刑を正せ」と。冢宰百官と令を軍に布きて曰く、「罪人の地に入らば、神祇を暴(あら)すこと無かれ、田猟を行うこと無かれ、土功を毀つこと無かれ、牆屋を燔(や)くこと無かれ、林木を伐ること無かれ、六畜・禾黍・器械を取ること無かれ。
現代語訳
(礼・義・信・勇・智など)六つの徳は時に応じてあわせて教え、民の綱紀とする道である。これが古からの政治である。先王の統治は、天の道に従い、土地にふさわしい使い方を定め、民の中の有徳者を官職につけ、名分を正して万事を治め、国を立てて職分を明らかにし、爵位によって禄を分けた。諸侯は喜んでなつき、海外の国々まで来て服し、訴訟はなくなり兵は用いられずにすんだ。これが聖なる徳による統治である。その次は、賢王が礼楽と法度を定め、五刑(五種の刑罰)を作り、軍を起こして不義を討つものである。四方を巡視して諸侯を集め、(制度の)違いを調べる。命に背いて常道を乱し、徳に背いて天に逆らい、功ある君主を危うくする者がいれば、あまねく諸侯に告げてその罪を明らかにする。そこで皇天上帝と日月星辰に告げ、后土(大地の神)や四海の神々、山川や冢社(国の大社)に祈り、先王の廟に報告する。その後、冢宰(ちょうさい、天子を補佐する宰相)が諸侯に出兵を求めて言う。「某国は道に外れたことをした。これを征伐せよ。某年某月某日に軍は某国に至り、天子のもとに集まって刑を正せ」。冢宰は百官とともに軍に命令を布いて言う。「罪人の国に入ったら、神々を汚すな、狩りをするな、堤や土木の工事を壊すな、垣根や家屋を焼くな、林の木を伐るな、家畜や穀物や器具を奪うな。
解説
関連する章句
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司馬法・仁本敵若し之を傷つけば、医薬して之を帰せ」と。既に有罪を誅すれば、王及び諸侯其の国を修正し、賢を挙げ明を立て、厥(そ)の職を正し復す。王・覇の諸侯を治むる所以の者は六。土地を以て諸侯を形し、政令を以て諸侯を平らげ、礼信を以て諸侯を親しみ、材力を以て諸侯を説(よろこ)ばし、謀人を以て諸侯を維(つな)ぎ、兵革を以て諸侯を服す。
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司馬法・仁本天下既に平らぎ、天子大いに愷(がい)し、春は蒐(しゅう)し秋は獮(せん)す。諸侯は春に旅を振い、秋に兵を治む。戦を忘れざる所以なり。古は、奔るを逐うこと百歩を過ぎず、綏(すい)を縦(お)うこと三舎を過ぎず、是を以て其の礼を明らかにす。不能を窮めずして傷病を哀憐す、是を以て其の義を明らかにす。列を成して皷(こ)す、是を以て其の信を明らかにす。
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司馬法・天子之義軍に在りては抗して立ち、行に在りては遂(すす)みて果たし、介者は拝せず、兵車は式せず、城上は趨らず、危事は歯(よわい)せず。故に礼と法とは表裏なり。文と武とは左右なり。古は、賢王民の徳を明らかにし、民の善を尽くす、故に廃徳無く、簡民無く、賞は生ずる所無く、罰は試みる所無し。有虞氏は賞せず罰せずして民用うべし、至徳なり。夏は賞して罰せず、至教なり。殷は罰して賞せず、至威なり。周は賞罰を以てす、徳衰うるなり。
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司馬法・定爵国に居りては和し、軍に在りては法あり、刃上には察す。国に居りては好を見し、軍に在りては方を見し、刃上には信を見す。凡そ陳は、行くには惟れ疏(そ)に、戦うには惟れ密に、兵は惟れ雑う。人の教え厚ければ、静かにして乃ち治まり、威利章(あき)らかなり。相守るに義あれば、則ち人勉め、慮多く成れば、則ち人服す。時中に服し、厥の次治まる。物既に章らかなれば、目乃ち明らかなり。慮既に定まれば、心乃ち強し。進退に疑い無く、敵を見て謀る無し。誅を聴きては、其の名を誰(と)うこと無く、其の旗を変うること無かれ。凡そ事は、善なれば則ち長く、古に因れば則ち行われ、誓い作(おこ)りて章らかなれば、人乃ち強く、厲祥を滅ぼす。厲を滅ぼすの道は、一に曰く義、之を被(おお)うに信を以てし、之に臨むに強を以てし、基を成し、天下の形を一にし、人説ばざる莫し、是れを兼ねて其の人を用うと謂う。一に曰く権、其の溢るるを成し、其の好むところを奪い、我は其の外よりし、自ら其の内よりせしむ。一に曰く人、二に曰く正、三に曰く辞、四に曰く巧、五に曰く火、六に曰く水、七に曰く兵、是れを七政と謂う。栄、利、恥、死、是れを四守と謂う。容色積威は、意を改むるに過ぎず、凡そ此れ道なり。唯だ仁のみ親しむ有り、仁有りて信無ければ、反って厥の身を敗る。人は人とし、正は正とし、辞は辞とし、火は火とす。凡そ戦いの道は、既に其の気を作し、因りて其の政を発し、之に仮すに色を以てし、之を道(みちび)くに辞を以てし、懼れに因りて戒め、欲に因りて事とし、敵を蹈み地を制し、職を以て之に命ず、是れを戦法と謂う。凡そ人の形は、衆の求むるに由り、試みるに名行を以てし、必ず善く之を行う。若し行わんとして行わざれば、身以て之を将い、若し行わんとして行えば、因りて忘るること勿からしめ、三たびして乃ち章を成す。人生の宜しき、之を法と謂う。
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史記 宋微子世家恭は粛を作し、従は治を作し、明は智を作し、聡は謀を作し、睿は聖を作す。八政。一を食と曰ひ、二を貨と曰ひ、三を祀と曰ひ、四を司空と曰ひ、五を司徒と曰ひ、六を司寇と曰ひ、七を賓と曰ひ、八を師と曰ふ。五紀。一を歳と曰ひ、二を月と曰ひ、三を日と曰ひ、四を星辰と曰ひ、五を歴数と曰ふ。皇極。皇其の有極を建て、時の五福を斂めて、用て敷きて其の庶民に錫ふ。維れ時れ其の庶民女の極に于(おい)て、女に保極を錫ふ。凡そ厥の庶民は、淫朋有ること毋く、人比徳有ること毋く、維れ皇極を作す。凡そ厥の庶民、猷有り為有り守有るは、女則ち之を念へ。極に協はずとも、咎に離(かか)らざるは、皇則ち之を受けよ。而ち而の色を安んじて、予が好む所は徳なりと曰はば、女則ち之に福を錫へ。時の人斯れ其れ維れ皇の極とせん。寡を侮りて高明を畏るること毋かれ。人の能有り為有る、其の行ひを羞めしめば、而ち国其れ昌えん。凡そ厥の正人は、既に富ましめて方に穀(よ)くせよ。女、而の家に好有らしむること能はずんば、時の人斯れ其れ辜あらん。其の好むこと毋きに于ては、女之に福を錫ふと雖も、其れ女の用て咎を作さん。偏すること毋く頗すること毋く、王の義に遵へ。好を作すこと有る毋く、王の道に遵へ。悪を作すこと有る毋く、王の路に遵へ。偏すること毋く党すること毋くんば、王道蕩蕩たり。党すること毋く偏すること毋くんば、王道平平たり。反すること毋く側すること毋くんば、王道正直なり。其の有極に会し、其の有極に帰せよ。曰く、王極の敷言は、是れ夷(つね)是れ訓にして、帝に于て其れ順ふ。凡そ厥の庶民、極の敷言に、是れ順ひ是れ行はば、以て天子の光に近づかん。曰く、天子は民の父母と作りて、以て天下の王と為る。三徳。一を正直と曰ひ、二を剛克と曰ひ、三を柔克と曰ふ。平康なるは正直、彊にして友ならざるは剛克、内に友なるは柔克。沈漸なるは剛克、高明なるは柔克。維れ辟(きみ)のみ福を作し、維れ辟のみ威を作し、維れ辟のみ玉食す。臣は福を作し威を作し玉食すること有る无し。臣福を作し威を作し玉食すること有らば、其れ而の家に害あり、而の国に凶あり。人用て側頗辟(へき)し、民用て僭忒(せんとく)せん。
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司馬法・天子之義古の民を教うるや、必ず貴賤の倫経を立て、相陵(しの)がざらしむ。徳義相踰えず、材技相掩わず、勇力相犯さず。故に力同じくして意和す。古は、国容は軍に入らず、軍容は国に入らず、故に徳義相踰えず。上は伐(ほこ)らざるの士を貴ぶ、伐らざるの士は、上の器なり。苟(いやしく)も伐らざれば則ち求むること無く、求むること無ければ則ち争わず。国中の聴は、必ず其の情を得、軍旅の聴は、必ず其の宜を得、故に材技相掩わず。命に従うを士の上賞と為し、命を犯すを士の上戮と為す、故に勇力相犯さず。既に其の民を教うるを致し、然る後に謹んで選びて之を使う。事極めて修まれば則ち百官給(た)る。
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