説苑 / 說叢
必貴以賤為本,必高以下為基。天將與之,必先苦之;天將毀之,必先累之。孝於父母,信於交友,十步之澤,必有香草;十室之邑,必有忠士。草木秋死,松柏獨在;水浮萬物,玉石留止。饑渴得食,誰能不喜?賑窮救急,何患無有?視其所以,觀其所使,斯可知已。乘輿馬不勞致千里,乘船楫不游絕江海;智莫大於闕疑,行莫大於無悔也。制宅名子,足以觀士。利不兼,賞不倍;忽忽之謀,不可為也,惕惕之心,不可長也。
新字:必貴以賤為本,必高以下為基。天将与之,必先苦之;天将毀之,必先累之。孝於父母,信於交友,十歩之沢,必有香草;十室之邑,必有忠士。草木秋死,松柏独在;水浮万物,玉石留止。饑渴得食,誰能不喜?賑窮救急,何患無有?視其所以,観其所使,斯可知已。乗輿馬不労致千里,乗船楫不游絶江海;智莫大於闕疑,行莫大於無悔也。制宅名子,足以観士。利不兼,賞不倍;忽忽之謀,不可為也,惕惕之心,不可長也。
書き下し
必ず貴きは賤しきを以て本と為し、必ず高きは下きを以て基と為す。天將に之に與えんとすれば、必ず先ず之を苦しめ、天將に之を毀たんとすれば、必ず先ず之を累わす。父母に孝に、交友に信あれば、十步の澤に必ず香草有り、十室の邑に必ず忠士有り。草木秋に死すれども、松柏獨り在り。水は萬物を浮かべ、玉石は留まり止まる。饑渴食を得れば、誰か喜ばざらんや。窮を賑わし急を救わば、何ぞ有らざるを患えん。其の以る所を視、其の使う所を觀れば、斯れ知るべきのみ。輿馬に乘れば勞せずして千里に致り、船楫に乘れば游がずして江海を絕つ。智は疑を闕くより大なるは莫く、行は悔無きより大なるは莫し。宅を制し子に名づくれば、以て士を觀るに足る。利は兼ねず、賞は倍せず。忽忽の謀は為すべからざるなり、惕惕の心は長ずべからざるなり。
現代語訳
尊いものは必ず卑しいものを根本とし、高いものは必ず低いものを土台とする。天がまさに人に恵みを与えようとするときは、必ずまずその人を苦しめる。天がまさに人を滅ぼそうとするときは、必ずまずその人に累(わざわい)を重ねる。父母に孝行し、友人に信義を尽くしていれば、わずか十歩の沢にも必ず香り高い草があるように、たった十軒の村にも必ず忠実な士がいる。草木は秋になれば枯れるが、松や柏だけは緑を保つ。水はあらゆる物を浮かべて流し去るが、玉や石は留まって動かない。飢えや渇きにある者が食を得れば、誰が喜ばないだろうか。困窮する者を助け急場を救えば、味方に事欠くことを心配する必要があろうか。その人が頼りにしているところを見て、用いる相手を観察すれば、その人物がどんな人かは知ることができる。輿や馬に乗れば苦労せずに千里の彼方まで至り、船や櫂を用いれば泳がずとも大河や海を渡ることができる。知恵は疑わしいことを保留する(独断しない)ことより大きなものはなく、行いは悔いを残さないことより大きなものはない。住まいを整え子に名をつける様子を見れば、それだけでその人物がどのような士であるかを知るに十分である。利益は独り占めせず、恩賞は二重取りしない。軽々しい浅慮な謀は行うべきではなく、いつもびくびくと恐れる心を持ち続けるべきではない。
解説
この章句が説くこと
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説苑・說叢為さざる無き者は、成さざる能わざる無きなり。欲せざる無き者は、得ざる能わざる無きなり。眾正の積は、福及ばざる無きなり。眾邪の積は、禍逮ばざる無きなり。力は貧に勝ち、謹は禍に勝ち、慎は害に勝ち、戒は災に勝つ。善を為す者は天德を以て報い、不善を為す者は天禍を以て報ゆ。君子時を得れば水の如く、小人時を得れば火の如し。己を謗道する者は、心の罪なり。己を尊賢する者は、心の力なり。心の得は、萬物爲すに足らざるなり。心の失は、獨心も守る能わざるなり。子孝ならざれば、吾が子に非ざるなり。交わり信ならざれば、吾が友に非ざるなり。其の口に食して百節肥え、其の本に灌ぎて枝葉茂る。本傷める者は枝槁れ、根深き者は末厚し。善を為す者は道を得、惡を為す者は道を失う。惡語は口より出ださず、苟言は耳に留めず。偽を務むれば長ぜず、虛を喜べば久しからず。義士は心を欺かず、廉士は妄りに取らず。財を以て草と為し、身を以て寶と為す。少小を慈仁とし、耆老を恭敬す。犬吠えて驚かざる、命じて金城と曰う。常に危殆を避くる、命じて不悔と曰う。富めば必ず貧を念い、壯なれば必ず老を念う。年幼少なりと雖も、之を慮ること必ず早くす。夫れ禮有る者も相為に死し、禮無き者も亦た相為に死す。貴は驕と期せずして、驕自ら來り、驕は亡と期せずして、亡自ら至る。踒人は日夜一起せんことを願い、盲人は視るを忘れず。知者は悟に始まりて諧に終わり、愚者は樂に始まりて哀に終わる。高山は仰ぎ止み、景行は行き止まる。力及ばずと雖も、心必ず務めて為す。終わりを慎むこと始めの如く、常に以て戒めと為す。戰戰慄慄として、日に其の事を慎む。聖人の正は、安靜に如くは莫し。賢者の治は、故に眾と異なる。
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