説苑 / 敬慎
石讎曰:「春秋有忽然而足以亡者,國君不可以不慎也!妃妾不一,足以亡;公族不親,足以亡;大臣不任,足以亡;國爵不用,足以亡;親佞近讒,足以亡;舉百事不時,足以亡;使民不節,足以亡;刑罰不中,足以亡;內失眾心,足以亡;外嫚大國,足以亡。」
新字:石讎曰:「春秋有忽然而足以亡者,国君不可以不慎也!妃妾不一,足以亡;公族不親,足以亡;大臣不任,足以亡;国爵不用,足以亡;親佞近讒,足以亡;舉百事不時,足以亡;使民不節,足以亡;刑罰不中,足以亡;内失眾心,足以亡;外嫚大国,足以亡。」
書き下し
石讎曰わく、「春秋に忽然として以て亡ぶるに足る者有り、国君は以て慎まざるべからざるなり。妃妾一ならざれば、以て亡ぶるに足る。公族親しまざれば、以て亡ぶるに足る。大臣任ぜざれば、以て亡ぶるに足る。国爵用いられざれば、以て亡ぶるに足る。佞を親しみ讒を近づければ、以て亡ぶるに足る。百事を挙ぐるに時ならざれば、以て亡ぶるに足る。民を使うに節せざれば、以て亡ぶるに足る。刑罰中らざれば、以て亡ぶるに足る。内衆心を失えば、以て亡ぶるに足る。外大国を嫚れば、以て亡ぶるに足る」と。
現代語訳
石讎は言った、「春秋の歴史には、あっという間に滅びるに至った例がある。国君はこれをよく慎まなければならない。正妻と側室の秩序が一つに定まっていなければ、それだけで滅びるに足る。公族と親しくしなければ、それだけで滅びるに足る。大臣を信任して用いなければ、それだけで滅びるに足る。国の爵位が正しく運用されなければ、それだけで滅びるに足る。へつらう者に親しみ讒言する者を近づければ、それだけで滅びるに足る。あらゆる事業を時宜に合わず行えば、それだけで滅びるに足る。民を使役するのに節度がなければ、それだけで滅びるに足る。刑罰が的を射ていなければ、それだけで滅びるに足る。国内で民衆の心を失えば、それだけで滅びるに足る。国外で大国を軽んじれば、それだけで滅びるに足る」と。
解説
石讎は国が滅びる原因を十項目にわたって列挙するが、いずれも突発的な天変地異ではなく、後宮の秩序、人材登用、諫言の受容、時宜、民力の管理、公正な刑罰、内外の信頼という、日々の統治判断の積み重ねに関わるものばかりである。一つ一つは小さな綻びに見えても、それが放置されれば国家という巨大な仕組み全体を瓦解させかねないという警鐘であり、大きな崩壊は必ず小さな油断から始まるという普遍的な教訓を体系立てて示している。現代の組織においても、人事の不公平、内部対立の放置、情報漏洩、時流を無視した施策、現場の疲弊、不公正な評価など、この十項目はほぼそのまま組織崩壊のチェックリストとして読み替えることができる。
この章句が説くこと
亡国の十兆候小さな綻び慎みのチェックリスト
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