説苑 / 建本
河間獻王曰:「管子稱倉廩實,知禮節;衣食足,知榮辱。」夫谷者,國家所以昌熾,士女所以姣好,禮義所以行,而人心所以安也。尚書五福以富為始,子貢問為政,孔子曰:富之,既富乃教之也,此治國之本也。
新字:河間献王曰:「管子称倉廩実,知礼節;衣食足,知栄辱。」夫谷者,国家所以昌熾,士女所以姣好,礼義所以行,而人心所以安也。尚書五福以富為始,子貢問為政,孔子曰:富之,既富乃教之也,此治国之本也。
書き下し
河間の献王曰わく、「管子称う、倉廩実つれば礼節を知り、衣食足れば栄辱を知ると」。夫れ穀なる者は、国家昌熾する所以、士女姣好なる所以、礼義行わるる所以にして、人心安んずる所以なり。尚書五福は富を以て始めと為す。子貢政を為すを問い、孔子曰わく、之を富ましめよ、既に富みて乃ち之を教うと。此れ治国の本なり。
現代語訳
河間の献王は言った。「管子はこう述べている。米蔵が満ちて初めて礼節を知り、衣食が足りて初めて栄誉と恥辱を知る」と。そもそも穀物というものは、国家が繁栄する拠り所であり、人々が美しく健やかである拠り所であり、礼儀が行われる拠り所であり、人の心が安らかである拠り所である。尚書に説かれる五つの幸福も富を第一に挙げている。子貢が政治について尋ねたとき、孔子は「まず民を豊かにせよ。豊かになって初めて教化するのだ」と答えた。これこそが国を治める根本である。
解説
礼節や道徳を説く前に、まず物質的な充足を実現せよという極めて現実的な統治論である。孔子自身が「富ませてから教える」と順序を明言している点は、精神論だけで人を律しようとする理想主義への戒めとして重い。空腹や困窮の中では礼儀も向上心も育ちにくいという事実は、貧困対策よりも道徳教育を優先しがちな議論への反証ともなる。組織運営においても、待遇や生活基盤を整えないまま倫理や献身を求めることの空虚さを、この章は二千年前から指摘している。
この章句が説くこと
富国教化順序
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『塩鉄論』授時篇賢良曰く、周公の成王に相たるや、百姓饒樂し、國に窮人無し、之に代わりて耕織せしに非ざるなり。其の田疇を易め、其の稅斂を薄くすれば、則ち民富む。上は以て君親に奉じ、下は饑寒の憂い無ければ、則ち教成るべし。語に曰く、『既に富めり、又た何をか加えん。曰く、之を教うと』。之を教うるに德を以てし、之を齊うるに禮を以てすれば、則ち民は義に徙りて善に從い、入りては孝、出でては悌ならざるは莫し、夫れ何ぞ奢侈暴慢の有らんや。管子曰く、『倉廩實ちて禮節を知り、百姓足りて榮辱を知る』と。故に富民は與に禮に適き易し。
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『管子』治國凡そ國を治むるの道は、必ず先ず民を富ます。民富めば則ち治め易きなり。民貧しければ則ち治め難きなり。奚を以て其の然るを知るや。民富めば則ち鄉に安んじ家を重んず。鄉に安んじ家を重んずれば則ち上を敬い罪を畏る。上を敬い罪を畏るれば則ち治め易きなり。民貧しければ則ち鄉を危うくし家を輕んず。鄉を危うくし家を輕んずれば則ち敢えて上を陵ぎ禁を犯す。上を陵ぎ禁を犯せば則ち治め難きなり。故に治國は常に富み、亂國は常に貧し。是を以て善く國を為むる者は、必ず先ず民を富まし、然る後に之を治む。昔者七十九代の君、法制一ならず、號令同じからざるも、然れども俱に天下に王たりし者は、何ぞや。必ず國富みて粟多ければなり。夫れ國を富まし粟を多くするは、農より生ず、故に先王之を貴ぶ。
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