説苑 / 君道
韓武子田,獸已聚矣,田車合矣,傳來告曰:「晉公薨。」武子謂欒懷子曰:「子亦知君好田獵也,獸已聚矣,田車合矣,吾可以卒獵而後弔乎?」懷子對曰:「范氏之亡也,多輔而少拂,今臣於君,輔也;畾於君,拂也,君胡不問於畾也?」武子曰:「盈而欲拂我乎?而拂我矣,何必畾哉?」遂輟田。
新字:韓武子田,獣已聚矣,田車合矣,伝来告曰:「晉公薨。」武子謂欒懐子曰:「子亦知君好田猟也,獣已聚矣,田車合矣,吾可以卒猟而後弔乎?」懐子対曰:「范氏之亡也,多輔而少払,今臣於君,輔也;畾於君,払也,君胡不問於畾也?」武子曰:「盈而欲払我乎?而払我矣,何必畾哉?」遂輟田。
書き下し
韓の武子田す。獣已に聚まり、田車已に合う。伝来りて告げて曰く、「晋公薨ず」と。武子欒懐子に謂いて曰く、「子も亦た君の田猟を好むを知る。獣已に聚まり、田車已に合う。吾以て猟を卒えて後に弔うべきか」と。懐子対えて曰く、「范氏の亡ぶるや、輔多くして拂少なし。今臣君に於けるや、輔なり。畾君に於けるや、拂なり。君胡ぞ畾に問わざるや」と。武子曰く、「盈にして我を拂かんと欲するか、而れども我を拂けり、何ぞ必ずしも畾ならんや」と。遂に田を輟む。
現代語訳
韓の武子が狩りをしていた。獣はすでに集まり、狩猟の車も整っていた。使者が来て「晋公が亡くなりました」と告げた。武子は欒懐子に「あなたも私が狩猟を好むことを知っているだろう。獣はすでに集まり、車も整っている。狩りを終えてから弔問すべきだろうか」と言った。懐子は答えた。「范氏が滅んだのは、追従する者が多く、逆らって諫める者が少なかったからです。今、私はあなたにとって追従する者です。畾はあなたにとって逆らって諫める者です。あなたはどうして畾に尋ねないのですか。」武子は言った。「お前が私に逆らおうとしているのか。いや、お前は今まさに私を逆らって諫めているではないか。何もわざわざ畾に聞くまでもない。」そして狩りを中止した。
解説
懐子は自らを追従する者と自認しながら、あえて自分ではなく別の直言できる者に判断を仰ぐよう進言した。これは自分の限界を正直に認める謙虚さの表れであり、武子もまたその進言自体がすでに諫言であると即座に見抜き、狩りを中止した。組織においても、自分に近い立場の者ほど本音の直言をためらいがちであり、その構造的な限界を自覚した上で、あえて異なる立場の声を求める仕組みを作ることの大切さを教えている。
この章句が説くこと
追従と諫言自己認識決断
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