戦国策 / 魏文子田需周宵相善
魏文子、田需、周宵相善,欲罪犀首。犀首患之,謂魏王曰:「今所患者,齊也。嬰子言行於齊王,王欲得齊,則胡不召文子而相之?彼必務以齊事王。」王曰:「善。」因召文子而相之。犀首以倍田需、周宵。
新字:魏文子、田需、周宵相善,欲罪犀首。犀首患之,謂魏王曰:「今所患者,斉也。嬰子言行於斉王,王欲得斉,則胡不召文子而相之?彼必務以斉事王。」王曰:「善。」因召文子而相之。犀首以倍田需、周宵。
書き下し
魏の文子・田需・周宵相い善くし、犀首を罪せんと欲す。犀首之を患え、魏王に謂いて曰く、「今患うる所の者は、齊なり。嬰子の言齊王に行わる、王齊を得んと欲せば、則ち胡(なん)ぞ文子を召して之を相とせざる。彼必ず務めて齊を以て王に事(つか)えん」と。王曰く、「善し」と。因りて文子を召して之を相とす。犀首以て田需・周宵に倍(そむ)かる。
現代語訳
魏の文子(田文)・田需・周宵の三人は互いに親しく、犀首を罪に陥れようとしていた。犀首はこれを憂い、魏王にこう説いた。「今のところ憂うべきは斉の動向です。田嬰の言葉は斉王によく通りますので、王が斉を味方につけたいとお望みなら、文子を宰相に迎えられてはいかがでしょうか。文子は必ず力を尽くして斉を王のために働かせるでしょう。」王は「なるほど」と言い、文子を召して宰相とした。こうして犀首は、かえって文子の力を借りて田需・周宵の側から離反させることに成功した。
解説
犀首は自分を陥れようとする三人の連携を正面から崩すのではなく、うち一人(文子)を厚遇させることで、その連携そのものを内側から切り崩す策を取りました。「斉との関係強化には文子の登用が有効だ」という王にとって筋の通る理由を提示することで、私怨のための人事だと悟られずに目的を達成しています。敵対勢力を一枚岩と見なさず、そのなかで最も引き抜きやすい者を取り込むことで包囲を解くという発想は、権力闘争における基本的な戦術です。現代の組織内対立でも、反対派をひとまとめに敵視するのではなく、個々の利害の違いに着目して切り崩す視点が有効な場合があります。ただし、こうした分断工作は組織の信頼関係を損なう副作用もあることは念頭に置くべきでしょう。
この章句が説くこと
犀首田文田需周宵分断策
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