呂氏春秋 / 任地③
上田棄畝,下田棄甽。五耕五耨,必審以盡。其深殖之度,陰土必得,大草不生,又無螟蜮。今茲美禾,來茲美麥。是以六尺之耜,所以成畝也;其博八寸,所以成甽也;耨柄尺,此其度也;其耨六寸,所以間稼也。地可使肥,又可使棘。人肥必以澤,使苗堅而地隙;人耨必以旱,使地肥而土緩。
新字:上田棄畝,下田棄甽。五耕五耨,必審以尽。其深殖之度,陰土必得,大草不生,又無螟蜮。今茲美禾,来茲美麦。是以六尺之耜,所以成畝也;其博八寸,所以成甽也;耨柄尺,此其度也;其耨六寸,所以間稼也。地可使肥,又可使棘。人肥必以沢,使苗堅而地隙;人耨必以旱,使地肥而土緩。
書き下し
上田は畝を棄て、下田は甽を棄つ。五耕五耨、必ず審らかにして以て其の深殖の度を盡くせば、陰土必ず得、大草生ぜず、又螟蜮無し。今茲は美禾あり、來茲は美麥あり。是を以て六尺の耜は、畝を成す所以なり。其の博さ八寸は、甽を成す所以なり。耨の柄は尺、此れ其の度なり。其の耨六寸は、稼を閒つる所以なり。地肥えしむ可く、又棘せしむ可し。人肥やすに必ず澤を以てすれば、苗をして堅に地をして隙あらしむ。人耨るに必ず旱を以てすれば、地をして肥えしめ土をして緩ならしむ。
現代語訳
高地の田(上田)では畝(高い部分)に種をまかず甽(溝)にまき、低地の田(下田)では甽にまかず畝にまく。五回耕し五回除草し、必ず入念にして深く根を張らせる程度(深殖の度)を尽くせば、土中の湿り(陰土)が十分に得られ、大きな雑草も生えず、また苗心を食う害虫(螟蜮)もつかない。今年は良い粟が実り、来年は良い麦が実る。そこで六尺の耜(すき)は畝を作るための道具であり、その幅八寸は甽(溝)を作るためのもの、耨(くわ)の柄は一尺、これが標準の寸法であり、その刃幅六寸は苗と苗の間を除草するためのものである。土は肥やすこともでき、また締めてやせさせることもできる。人が土を肥やすには必ず潤い(適度な湿り)のあるときに行えば、苗を丈夫にし土に根の張るすきまを作れる。人が除草するには必ず乾いたときに行えば、土を肥やし土をやわらげることができる。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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呂氏春秋・辯圡③稼は塵より生じ、而して堅きに殖せんことを欲する者なり。其の種を愼んで、數ならしむること勿く、亦た疏ならしむること勿れ。其の土を施すに於いて、足らざらしむること無く、亦た餘り有らしむること無かれ。熟して有た耰するや、必ず其の培いに務む。其の耰するや稹かならんとす。稹かなる者は、其の生ずるや必ず先だてばなり。其の土を施すや均しからんとす。均しき者は、其の生ずるや必ず堅ければなり。是を以て畮は廣くして以て平らかなれば、則ち本を喪わず。莖、地に生ずる者は、之を五分するに地を以てす。莖の生ずるや行有り。故に遫く長ず。弱相害せず。故に遫く大なり。衡行必ず得、縱行必ず術げ、其の行を正して、其の風を通じ、必ず中央に夬して、帥いて泠風を為す。苗、其の弱きや孤ならんことを欲し、其の長ずるや相與に居らんことを欲し、其の熟するや相扶けんことを欲す。是の故に三以て族と為せば、乃ち粟多し。
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呂氏春秋・辯圡②所謂今の耕するや、營めども獲る無きは、其の蚤き者の時に先だち、晩き者の時に及ばず、寒暑の節ならずして、稼乃ち菑實多きなり。其の畝を為るや、高くして危ければ則ち澤奪われ、陂すれば則ち埒し、風せらるれば則ち仆れ、高く培えば則ち拔け、寒ければ則ち雕み、熱ければ則ち脩み、一時にして五六死す。故に來を為す能わず。俱に生ぜずして俱に死るるに、虚稼先づ死るるは、衆盜乃ち竊めばなり。之を望めば餘り有るに似るも、之に就けば則ち虚し。農夫、其の田の易まるを知るも、其の稼の疏にして適せざるを知らざることあり。其の田の除するを知るも、其の稼の地に居るの虚しきを知らざることあり。除せざれば則ち蕪れ、之を除すれば則ち虚しきは、此れ事の傷るるなり。故に畮は廣くして以て平かなるを欲し、甽は小にして以て深きを欲し、下は陰を得、上は陽を得、然る後咸生ず。
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呂氏春秋・辯圡④凡そ禾の患いは、俱に生ぜずして俱に死するなり。是を以て先づ生ずる者は美米、後に生ずる者は粃と為る。是の故に其の耨ずるや、其の兄を長ぜしめて其の弟を去る。肥に樹うるには、扶疏ならしむること無く、墝に樹うるには、專生して族居せしむるを欲せず。肥にして扶疏なれば則ち粃多く、墝にして專居すれば則ち多く死る。稼を知らざる者は、其の耨するや、其の兄を去りて其の弟を養い、其の粟を収めずして其の粃を収む。上下安からざれば、則ち禾多く死る。土を厚くすれば則ち孽通ぜず、土を薄くすれば則ち蕃轓にして發せず。壚埴冥色にして、剛土に柔種し、免め耕し匿を殺れば、農事をして得しむ。
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呂氏春秋・任地⑤年有れば土を瘞り、年無きも土を瘞る。民時を失うこと無ければ、之をして下を治めしむること無し。貧富の利器を知れば、皆時至りて作し、時を渴して止む。是を以て老弱の力盡く起こす可し。其の日を用うること半ばにして、其の功倍せしむ可し。事を知らざる者は、時未だ至らずして之に逆らい、時既に往きて之を慕う。時に當たりて之を薄んじ、其の民をして之に郤らわしめ、民既に郤らえば、乃ち良時を以て慕う。此れ事に從うの下なり。事を操れば則ち苦しみ、高下を知らざれば、民は乃ち逾處す。稑禾を種うれども稑と為らず、重禾を種うれども重と為らず。是を以て粟少くして功を失う。
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呂氏春秋・上農③上田の夫は九人を食い、下田の夫は五人を食う。以て益す可きも、以て損う可からず。一人之を治むれば、十人之を食う。六畜皆其の中に在り。此れ大いに地に任ずるの道なり。
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呂氏春秋・任地②凡そ耕の大方は、力ある者は柔ならんと欲し、柔なる者は力あらんと欲す。息する者は勞せんと欲し、勞する者は息せんと欲す。棘せたる者は肥えんと欲し、肥えたる者は棘せんと欲す。急なる者は緩ならんと欲し、緩なる者は急ならんと欲す。溼なる者は燥ならんと欲し、燥なる者は溼ならんと欲す。