呂氏春秋 / 辯圡③
稼欲生於塵,而殖於堅者。慎其種,勿使數,亦無使疏。於其施土,無使不足,亦無使有餘。熟有耰也,必務其培。其耰也植,植者其生也必先。其施土也均,均者其生也必堅。是以畮廣以平,則不喪本莖;生於地者,五分之以地。莖生有行,故遫長;弱不相害,故遫大。衡行必得,縱行必術。正其行,通其風,夬心中央,帥為泠風。苗,其弱也欲孤,其長也欲相與居,其熟也欲相扶。是故三以為族,乃多粟。
新字:稼欲生於塵,而殖於堅者。慎其種,勿使数,亦無使疏。於其施土,無使不足,亦無使有余。熟有耰也,必務其培。其耰也植,植者其生也必先。其施土也均,均者其生也必堅。是以畮広以平,則不喪本茎;生於地者,五分之以地。茎生有行,故遫長;弱不相害,故遫大。衡行必得,縦行必術。正其行,通其風,夬心中央,帥為泠風。苗,其弱也欲孤,其長也欲相与居,其熟也欲相扶。是故三以為族,乃多粟。
書き下し
稼は塵より生じ、而して堅きに殖せんことを欲する者なり。其の種を愼んで、數ならしむること勿く、亦た疏ならしむること勿れ。其の土を施すに於いて、足らざらしむること無く、亦た餘り有らしむること無かれ。熟して有た耰するや、必ず其の培いに務む。其の耰するや稹かならんとす。稹かなる者は、其の生ずるや必ず先だてばなり。其の土を施すや均しからんとす。均しき者は、其の生ずるや必ず堅ければなり。是を以て畮は廣くして以て平らかなれば、則ち本を喪わず。莖、地に生ずる者は、之を五分するに地を以てす。莖の生ずるや行有り。故に遫く長ず。弱相害せず。故に遫く大なり。衡行必ず得、縱行必ず術げ、其の行を正して、其の風を通じ、必ず中央に夬して、帥いて泠風を為す。苗、其の弱きや孤ならんことを欲し、其の長ずるや相與に居らんことを欲し、其の熟するや相扶けんことを欲す。是の故に三以て族と為せば、乃ち粟多し。
現代語訳
作物はほぐれた細かい土から芽生え、そして締まったかたい土に根を張って育とうとするものである。種のまき方に気をつけ、密にしすぎず、まばらにもしすぎない。土のかぶせ方も、足りなくもせず、余らせもしない。芽生えて土をかぶせるときは、必ずその培土(根もとへの盛り土)に努める。かぶせる土は細やかであるのがよい。細やかであれば、芽生えが必ず早いからである。土のかぶせ方は均一であるのがよい。均一であれば、育ちが必ずしっかりするからである。だから畝が広く平らであれば、根もとの茎を損なわない。地に生える茎は、五分の一ほどを土に埋める(適度に土をかける)。茎が列をなして生えれば、だから速く伸びる。若いうちに互いに害し合わなければ、だから速く大きくなる。横の列をきちんとそろえ、縦の列も通し、その列を正して風を通し、必ず中央に隙間を開けて、そこを導いて和風(泠風)を通す。苗は、若いうちは一本ずつ離れていたく、伸びる頃には互いに寄り添っていたく、実る頃には互いに支え合っていたい。だから三本ずつまとめて一群(族)とすれば、粟が多く実るのである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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呂氏春秋・辯圡④凡そ禾の患いは、俱に生ぜずして俱に死するなり。是を以て先づ生ずる者は美米、後に生ずる者は粃と為る。是の故に其の耨ずるや、其の兄を長ぜしめて其の弟を去る。肥に樹うるには、扶疏ならしむること無く、墝に樹うるには、專生して族居せしむるを欲せず。肥にして扶疏なれば則ち粃多く、墝にして專居すれば則ち多く死る。稼を知らざる者は、其の耨するや、其の兄を去りて其の弟を養い、其の粟を収めずして其の粃を収む。上下安からざれば、則ち禾多く死る。土を厚くすれば則ち孽通ぜず、土を薄くすれば則ち蕃轓にして發せず。壚埴冥色にして、剛土に柔種し、免め耕し匿を殺れば、農事をして得しむ。
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呂氏春秋・辯圡①凡そ耕の道、必ず壚に始まるは、其の澤にして後枯るること寡きが為なり。必ず其のドウを厚くす。其れ唯だ厚くして及ぶが為なり。飽く者は之を荏らかくし、堅き者は之を耕し、其のドウを澤して之を後にす。上田は則ち其の處を被い、下田は則ち其の汙を盡くす。三盜に與えて地を任ぜしむること無かれ。夫れ四序參發するに、甽を大にし畝を小にし、青魚の胠らるるがごとく為し、苗、直鬛の若きは、地之を竊むなり。既に種えて行無く、耕せども長ぜざるは、則ち苗相竊むなり。除せざれば則ち蕪れ、之を除せば則ち虚しきは、則ち草之を竊むなり。故に此の三盜なる者を去りて、而る後粟多くす可きなり。
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呂氏春秋・辯圡②所謂今の耕するや、營めども獲る無きは、其の蚤き者の時に先だち、晩き者の時に及ばず、寒暑の節ならずして、稼乃ち菑實多きなり。其の畝を為るや、高くして危ければ則ち澤奪われ、陂すれば則ち埒し、風せらるれば則ち仆れ、高く培えば則ち拔け、寒ければ則ち雕み、熱ければ則ち脩み、一時にして五六死す。故に來を為す能わず。俱に生ぜずして俱に死るるに、虚稼先づ死るるは、衆盜乃ち竊めばなり。之を望めば餘り有るに似るも、之に就けば則ち虚し。農夫、其の田の易まるを知るも、其の稼の疏にして適せざるを知らざることあり。其の田の除するを知るも、其の稼の地に居るの虚しきを知らざることあり。除せざれば則ち蕪れ、之を除すれば則ち虚しきは、此れ事の傷るるなり。故に畮は廣くして以て平かなるを欲し、甽は小にして以て深きを欲し、下は陰を得、上は陽を得、然る後咸生ず。
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呂氏春秋・任地③上田は畝を棄て、下田は甽を棄つ。五耕五耨、必ず審らかにして以て其の深殖の度を盡くせば、陰土必ず得、大草生ぜず、又螟蜮無し。今茲は美禾あり、來茲は美麥あり。是を以て六尺の耜は、畝を成す所以なり。其の博さ八寸は、甽を成す所以なり。耨の柄は尺、此れ其の度なり。其の耨六寸は、稼を閒つる所以なり。地肥えしむ可く、又棘せしむ可し。人肥やすに必ず澤を以てすれば、苗をして堅に地をして隙あらしむ。人耨るに必ず旱を以てすれば、地をして肥えしめ土をして緩ならしむ。
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呂氏春秋・審時②是を以て時を得るの禾は、長秱長穗、大本にして莖殺ぎ、疏穖にして穗大なり。其の粟圓くして薄糠、其の米は沃多くして、之を食うに彊し。此の如き者は風せず。時に先だつ者は、莖葉、芒を帯びて以て短衡に、穗鉅いにして芳奪われ、秮米にして香からず。時に後るる者は、莖葉芒を帯びて末衡に、穗閱にして青零し、秕多くして滿たず。
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呂氏春秋・審時①凡そ農の道は、時に厚きを寶と為す。木を斬ること時ならざれば、折れずんば必ず穗く。稼就って穫らざれば、必ず天の菑いに遇う。夫れ稼は之を為す者は人なり、之を生ずる者は地なり、之を養う者は天なり。是を以て人之を稼するに足を容れ、之を耨るに耨を容れ、之を據うに手を容る。此を之れ耕道と謂う。