呂氏春秋 / 辯圡④
凡禾之患,不俱生而俱死。是以先生者美米,後生者為秕。是故其耨也,長其兄而去其弟。樹肥無使扶疏,樹墝不欲專生而族居。肥而扶疏則多秕,墝而專居則多死。不知稼者:其耨也去其兄而養其弟,不收其粟而收其秕,上下不安,則禾多死,厚土則孽不通,薄土則蕃轓而不發。壚埴冥色,剛土柔種,免耕殺匿,使農事得。
新字:凡禾之患,不俱生而俱死。是以先生者美米,後生者為秕。是故其耨也,長其兄而去其弟。樹肥無使扶疏,樹墝不欲専生而族居。肥而扶疏則多秕,墝而専居則多死。不知稼者:其耨也去其兄而養其弟,不収其粟而収其秕,上下不安,則禾多死,厚土則孽不通,薄土則蕃轓而不発。壚埴冥色,剛土柔種,免耕殺匿,使農事得。
書き下し
凡そ禾の患いは、俱に生ぜずして俱に死するなり。是を以て先づ生ずる者は美米、後に生ずる者は粃と為る。是の故に其の耨ずるや、其の兄を長ぜしめて其の弟を去る。肥に樹うるには、扶疏ならしむること無く、墝に樹うるには、專生して族居せしむるを欲せず。肥にして扶疏なれば則ち粃多く、墝にして專居すれば則ち多く死る。稼を知らざる者は、其の耨するや、其の兄を去りて其の弟を養い、其の粟を収めずして其の粃を収む。上下安からざれば、則ち禾多く死る。土を厚くすれば則ち孽通ぜず、土を薄くすれば則ち蕃轓にして發せず。壚埴冥色にして、剛土に柔種し、免め耕し匿を殺れば、農事をして得しむ。
現代語訳
およそ穀物(禾)の患いは、いっせいに芽生えず、いっせいに枯れることである。だから先に芽生えたものは良い米になり、遅れて芽生えたものは実の入らぬ粃(しいな)になる。そこで間引くときには、先に育った兄株を残して伸ばし、遅れた弟株を取り除く。肥えた土に植えるときは枝葉ばかり茂らせ(扶疏に)ないようにし、やせた石まじりの土(墝)に植えるときは密生させて群れ居させないようにする。肥えた土で枝葉が茂りすぎれば粃が多くなり、やせ地で密生すれば多く枯れる。作物を知らぬ者は、間引くのに逆に兄株を取り除いて弟株を養い、良い実を収めずに粃を収めてしまう。苗と土(上下)が落ち着かなければ穀物は多く枯れる。土を厚くかぶせすぎれば芽(孽)が通り抜けられず、薄すぎれば種が外皮に包まれたまま発芽しない。黒くねばる土が湿って暗い色をしているとき、かたい土は柔らげて種をまき、あらかじめ耕して害(わざわい)を除いておけば、農事はうまくいくのである。