呂氏春秋 / 任地⑤
有年瘞土,無年瘞土。無失民時,無使之治下。知貧富利器,皆時至而作,渴時而止。是以老弱之力可盡起,其用日半,其功可使倍。不知事者,時未至而逆之,時既往而慕之,當時而薄之,使其民而郤之。民既郤,乃以良時慕,此從事之下也。操事則苦,不知高下,民乃逾處。種稑禾不為稑,種重禾不為重,是以粟少而失功。
新字:有年瘞土,無年瘞土。無失民時,無使之治下。知貧富利器,皆時至而作,渴時而止。是以老弱之力可尽起,其用日半,其功可使倍。不知事者,時未至而逆之,時既往而慕之,当時而薄之,使其民而郤之。民既郤,乃以良時慕,此従事之下也。操事則苦,不知高下,民乃逾処。種稑禾不為稑,種重禾不為重,是以粟少而失功。
書き下し
年有れば土を瘞り、年無きも土を瘞る。民時を失うこと無ければ、之をして下を治めしむること無し。貧富の利器を知れば、皆時至りて作し、時を渴して止む。是を以て老弱の力盡く起こす可し。其の日を用うること半ばにして、其の功倍せしむ可し。事を知らざる者は、時未だ至らずして之に逆らい、時既に往きて之を慕う。時に當たりて之を薄んじ、其の民をして之に郤らわしめ、民既に郤らえば、乃ち良時を以て慕う。此れ事に從うの下なり。事を操れば則ち苦しみ、高下を知らざれば、民は乃ち逾處す。稑禾を種うれども稑と為らず、重禾を種うれども重と為らず。是を以て粟少くして功を失う。
現代語訳
豊作の年にも土地の神を祭り、不作の年にも土地の神を祭る(豊凶にかかわらず土を敬う)。民に農時を失わせなければ、民を農業以外の商業などに従事させることもない。貧富を分ける道具(農時の得失こそが利器)であることを知れば、みな時が来れば働き、時が過ぎれば手を止める。こうすれば老人や弱者の力までことごとく動員でき、労働日数は半分でも成果を倍にできる。農事を知らない者は、時がまだ来ないうちに焦って先走り、時が過ぎてから悔やんで求め、まさに時というときにそれを軽んじ、民を時に逆らわせる。民がいったん時に背けば、あとから良い時機を求めても手遅れだ。これは農事のやり方として最も拙い。仕事の仕方がまずければ苦労ばかりで、統治の巧拙(高下)をわきまえなければ民は怠けて過ごす。早生の粟をまいても早生に育たず、晩生の粟をまいても晩生に育たない(時機を誤ると品種の性質すら生きない)。だから収穫は少なく、労力はむだになるのである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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呂氏春秋・上農④故に時の務めに當りてや、土功を興さず、師徒を作さず、庶人は冠弁・娶妻・嫁女・享祀せず、酒醴もて衆を聚めず、農は上聞せざれば、敢て私に庸に籍やしめず。害を時に為せばなり。苟しくも同姓に非ざれば、男は出でて御らず、女は外に嫁がず、以て農を安んずるなり。
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呂氏春秋・審時①凡そ農の道は、時に厚きを寶と為す。木を斬ること時ならざれば、折れずんば必ず穗く。稼就って穫らざれば、必ず天の菑いに遇う。夫れ稼は之を為す者は人なり、之を生ずる者は地なり、之を養う者は天なり。是を以て人之を稼するに足を容れ、之を耨るに耨を容れ、之を據うに手を容る。此を之れ耕道と謂う。
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呂氏春秋・審時⑧是の故に時を得るの稼は興り、時を失うの稼は約す。莖相若く之を稱るに、時を得る者は重く、之を粟するに量多し。粟相若けば、之を舂くに、時を得る者は米量多し。米相若けば、之を食らうに、時を得る者は饑に忍う。是の故に時を得るの稼は、其の臭香しく、其の味甘く、其の氣章に、百日之を食らえば、耳目聰明に、心意叡智に、四衛變じて彊く、病氣入らず、身に苛殃無し。黃帝曰く、「四時は之を正せず、五穀を正すのみ。」
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呂氏春秋・任地④草は大月に諯む。冬至の後五旬七日にして、菖始めて生ず。菖は百草の先ず生ずる者なり。是に於て始めて耕す。孟夏の昔、三葉を殺して大麥を獲。日至に苦菜死して資生ずれば、麻と菽とを樹う。此に民に地寶の盡きたるを告ぐ。狶首生じて麥に葉無ければ、蓄藏に從事し、此に民に究わるを告ぐるなり。凡そ草の生藏するは日中に出づれば、五時に生を見て生を樹え、死を見て死を穫。天、時を下し、地、財を生ずるに、民と謀らず。
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呂氏春秋・上農⑦若し民、田を力めず、乃の家畜を墨すれば、國家治め難く、三疑乃ち極まる。是を本に背き則に反き、其の國を失毀すと謂う。凡そ民、七尺自り以上は、諸を三官に屬す。農は粟を攻め、工は器を攻め、賈は貨を攻む。時事共にせざる、是を大凶と謂う。之を奪うに土功を以てする、是を稽と謂う。憂唯を絶たざれば、必ず其の秕を喪う。之を奪うに水事を以てする、是を籥と謂う。喪以て樂に繼ぎ、四鄰來たりて虐す。之を奪うに兵事を以てする、是を厲と謂う。禍いは胥歲に銍艾を舉げざるに因る。數々民時を奪えば、大饑乃ち來たる。野に寢耒有りて、或いは談じ或いは歌い、旦より則ち有た昏なれば、粟を喪うこと甚だ多し。皆其の末を知りて、其の本真を知ること莫ければなり。
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呂氏春秋・審時②是を以て時を得るの禾は、長秱長穗、大本にして莖殺ぎ、疏穖にして穗大なり。其の粟圓くして薄糠、其の米は沃多くして、之を食うに彊し。此の如き者は風せず。時に先だつ者は、莖葉、芒を帯びて以て短衡に、穗鉅いにして芳奪われ、秮米にして香からず。時に後るる者は、莖葉芒を帯びて末衡に、穗閱にして青零し、秕多くして滿たず。