呂氏春秋 / 任地②
凡耕之大方:力者欲柔,柔者欲力。息者欲勞,勞者欲息。棘者欲肥,肥者欲棘。急者欲緩,緩者欲急。溼者欲燥,燥者欲溼。
新字:凡耕之大方:力者欲柔,柔者欲力。息者欲労,労者欲息。棘者欲肥,肥者欲棘。急者欲緩,緩者欲急。溼者欲燥,燥者欲溼。
書き下し
凡そ耕の大方は、力ある者は柔ならんと欲し、柔なる者は力あらんと欲す。息する者は勞せんと欲し、勞する者は息せんと欲す。棘せたる者は肥えんと欲し、肥えたる者は棘せんと欲す。急なる者は緩ならんと欲し、緩なる者は急ならんと欲す。溼なる者は燥ならんと欲し、燥なる者は溼ならんと欲す。
現代語訳
およそ耕作の大原則はこうである。地力の強すぎるかたい土は柔らかくしたいし、柔らかすぎる土は力(締まり)を持たせたい。長く休ませた土は働かせたいし、働かせ続けた土は休ませたい。やせた土は肥やしたいし、肥えすぎた土はやせさせて締めたい。水はけの急な土は緩やかにしたいし、緩すぎる土は急にしたい。湿った土は乾かしたいし、乾いた土は湿らせたい。
解説
ここでは耕作の大原則として、土の性質を両極の間で調整し、中庸へ導くという考え方が説かれます。かたい土は柔らかく、やせた土は肥やし、湿った土は乾かす――というように、過不足のある土の状態を反対方向に整えてバランスをとることが要諦とされます。これは農本思想における土壌管理の基本で、それぞれの田の欠点を見極めて手を加える細やかな技術観を示しています。画一的な方法ではなく、対象の状態に応じて逆向きの調整を施すという発想は、条件に合わせて最適化するという点で、現代の土壌改良や、さらには物事の調整全般にも通じる普遍的な知恵です。
この章句が説くこと
耕の大方土壌調整柔剛肥棘中庸耕作の要諦
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