呂氏春秋 / 觀表④
古之善相馬者:寒風是相口齒,麻朝相頰,子女厲相目,衛忌相髭,許鄙相𦙷,投伐褐相胸脅,管青相唇肳,陳悲相股腳,秦牙相前,贊君相後。凡此十人者,皆天下之良工也,其所以相者不同,見馬之一徵也,而知節之高卑,足之滑易,材之堅脆,能之長短。非獨相馬然也,人亦有徵,事與國皆有徵。聖人上知千歲,下知千歲,非意之也,蓋有自云也。綠圖幡薄,從此生矣。
新字:古之善相馬者:寒風是相口齒,麻朝相頰,子女厲相目,衛忌相髭,許鄙相𦙷,投伐褐相胸脅,管青相唇肳,陳悲相股腳,秦牙相前,賛君相後。凡此十人者,皆天下之良工也,其所以相者不同,見馬之一徴也,而知節之高卑,足之滑易,材之堅脆,能之長短。非独相馬然也,人亦有徴,事与国皆有徴。聖人上知千歳,下知千歳,非意之也,蓋有自云也。綠図幡薄,従此生矣。
書き下し
古の善く馬を相する者、寒風是は口齒を相し、麻朝は頰を相し、子女厲は目を相し、衛忌は髭を相し、許鄙は𦙷を相し、投伐褐は胸脅を相し、管青は脣肳を相し、陳悲は股腳を相し、秦牙は前を相し、贊君は後を相す。凡そ此の十人の者は、皆天下の良工なり。其の以て相する所の者は同じからず。馬の一徴を見るなり。而して節の高卑、足の滑易、材の堅脆、能の長短を知る。獨り馬を相するのみ、然るに非ざるなり。人も亦た徴有り。事と國とに皆徴有り。聖人、上は千歲を知り、下は千歲を知るは、之を意するに非ず。蓋し自ら云えるもの有るなり。綠圖幡薄、此に從りて生ず。
現代語訳
古の馬を見分ける名人たちは、寒風是は口と歯を見、麻朝は頬を、子女厲は目を、衛忌は髭を、許鄙は尻を、投伐褐は胸と脇を、管青は唇と口先を、陳悲は股と脚を、秦牙は前を、贊君は後ろを見た。これら十人はみな天下の名人であり、見分けるところは同じでないが、馬の一つの兆候を見て、関節の高低、足の滑らかさ、素材の堅さもろさ、能力の長短を知った。ただ馬を見分けるだけでこうなのではない。人にもまた兆候があり、事と国にもみな兆候がある。聖人が上は千年を知り、下は千年を知るのは、当て推量ではなく、思うにそれ(拠りどころ)があるのだ。緑図や幡薄も、ここから生まれたのである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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呂氏春秋・觀表①凡そ人心を論じ、事傳を觀ることは、熟せざる可からず、深からざる可からず。天は高しと為す。而して日月星辰雲氣雨露、未だ嘗て休まざるなり。地は大と為す。而して水泉草木毛羽裸鱗、未だ嘗て息まざるなり。凡そ天地の間、六合の內に居る者、其の務めて相安利を為すや、夫の相害危を為す者、勝げて數う可からず。人事皆然り。事は心に隨い、心は欲に隨う。欲に度無き者は、其の心度無し。心に度無き者は、則ち其の為す所は知る可からず。人の心は隱匿して見難く、淵深にして測り難し。故に聖人は事に於て焉を知る。聖人の人に過ぐる所以は先知を以てなり。先知は必ず徴表を審らかにす。徴表無くして先知せんと欲すれば、堯・舜も衆人と等を同じくす。徴は易しと雖も、表は難しと雖も、聖人は則ち以て飄す可からずとす。衆人は則ち道無くして至るとす。道無くして至れば則ち以て神と為し、以て幸と為す。神に非ず幸に非ず。其の數然らざるを得ず。郈成子・吳起之に近し。
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呂氏春秋・長見①智の相過ぐる所以は、其の長見と短見と以てなり。今の古に於けるや、猶ほ後世の今に於けるがごときなり。今の後世に於けるも、亦た猶ほ古の今に於けるがごときなり。故に審らかに今を知れば、則ち古を知る可く、古を知れば則ち後を知る可し。古今前後一なり。故に聖人は上千歲を知り、下千歲を知るなり。
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呂氏春秋・別類⑥驥・驁・綠耳日に背いて西走し、夕に至れば則ち日は其の前に在り。目は固より見えざる有るなり、智は固より知らざる有るなり、數は固より及ばざる有るなり。其の說然る所以を知らずして然るもの、聖人は因りて制を興し、心を事とせず。
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呂氏春秋・贊能①賢者は人に善くするに人を以てし、中人は事を以てし、不肖者は財を以てす。十の良馬を得るは、一の伯樂を得るに若かず。十の良劍を得るは、一の歐冶を得るに若かず。地千里を得るは、一の聖人を得るに若かず。舜、皋陶を得て、舜、之を受く。湯、伊尹を得て夏民を有ち、文王、呂望を得て殷商を服す。夫れ聖人を得れば、豈に里數有らんや。
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『列子』説符篇伯樂喟然として太息して曰く、一に此に至れるか。是れ乃ち其の臣に千萬して數無き所以の者なり。皋の觀る所の若きは天機なり。其の精を得て其の麤を忘れ、其の内に在りて其の外を忘る。其の見る所を見て、其の見ざる所を見ず。其の視る所を視て、其の視ざる所を遺る。皋の相する所の若きは、乃ち馬より貴き者有るなり、と。馬至る。果たして天下の馬なり。
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説苑・尊賢眉睫の徴は、接して色に形わる。声音の風は、感じて心に動く。甯戚牛角を撃ちて商歌するや、桓公聞きて之を挙ぐ。鮑龍石に跪きて嵼に登るや、孔子之が為に車を下る。堯・舜相見るに桑陰を違えず。文王太公を挙ぐるに日久しきを以てせず。故に賢聖の接わるや、久しきを待たずして親しみ、能者の相見るや、試みを待たずして知る。故に士の接わるや、必ずしも之と財に臨みて貨を分かたずして、乃ち其の廉を知るに非ず。必ずしも之と難を犯し危を渉らずして、乃ち其の勇を知るに非ず。事を挙げ決断するは、是を以て其の勇を知るなり。取与譲有るは、是を以て其の廉を知るなり。故に虎の尾を見て、其の貍より大なるを知り、象の牙を見て、其の牛より大なるを知る。一節見わるれば則ち百節知らる。此に由りて之を観れば、見る所を以て未発を占うべく、小節を睹て固より大体を知るに足る。