呂氏春秋 / 愼勢③
王者之封建也,彌近彌大,彌遠彌小,海上有十里之諸侯。以大使小,以重使輕,以眾使寡,此王者之所以家以完也。故曰,以滕、費則勞,以鄒、魯則逸,以宋、鄭則猶倍日而馳也,以齊、楚則舉而加綱旃而已矣。所用彌大,所欲彌易。
新字:王者之封建也,弥近弥大,弥遠弥小,海上有十里之諸侯。以大使小,以重使軽,以衆使寡,此王者之所以家以完也。故曰,以滕、費則労,以鄒、魯則逸,以宋、鄭則猶倍日而馳也,以斉、楚則舉而加綱旃而已矣。所用弥大,所欲弥易。
書き下し
王者の封建するや、彌々近ければ彌々大に、彌々遠ければ彌々小にして、海上には十里の諸侯有り。大を以て小を使い、重きを以て輕きを使い、衆を以て寡を使う。此れ王者の家して以て完き所以なり。故に曰く、「滕・費を以てすれば則ち勞し、鄒・魯を以てすれば則ち逸し、宋・鄭を以てすれば則ち猶ほ日を倍にして馳せるがごとく、齊・楚を以てすれば則ち舉げて綱を旃に加うるのみ。」用うる所彌々大なれば、欲する所彌々易し。
現代語訳
王者の封建のしかたは、都に近いほど大きく、遠いほど小さくし、海辺には十里ほどの小さな諸侯を置く。大をもって小を使い、重きをもって軽きを使い、多をもって寡を使う。これこそ王者がわが家のように天下を治めて全うできる理由である。だから、王者を助ける勢力が滕や費のような小国であれば骨が折れ、鄒や魯であれば楽になり、宋や鄭であればさらに日を倍にして馬を駆けさせるようにはかどり、斉や楚のような大国であれば、旗をかかげ綱をかけるだけでたやすく事が成る。用いる勢力が大きければ大きいほど、望むことはたやすくなる。
解説
この段は、王者が諸侯を封建するとき、中央に近いほど大きく遠いほど小さく配置し、大が小を、重が軽を、多が寡を制するよう秩序づけることを説きます。この階層構造こそ、王者が天下をわが家のように治めて全うできる理由だというのです。助ける勢力が大きいほど事はたやすくなる、と大小の連携の効率を強調します。中心から周縁へと規模の格差をつけて全体を階層的に統制し、大きな力を味方につけて事を進めるという発想は、本社と拠点、中核と周辺を格差づけて束ねる組織設計や、影響力の大きな相手と組む戦略論にも通じます。
この章句が説くこと
慎勢封建階層秩序大小軽重勢王者
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