呂氏春秋 / 不廣①
智者之舉事必因時。時不可必成,其人事則不廣,成亦可,不成亦可。以其所能託其所不能,若舟之與車。
新字:智者之舉事必因時。時不可必成,其人事則不広,成亦可,不成亦可。以其所能託其所不能,若舟之与車。
書き下し
智者の事を舉ぐるは必ず時に因る。時は必ず成す可からず。其の人事は則ち廣しくせず、成るも亦た可、成らざるも亦た可なり。其の能くする所を以し、其の能くせざる所を託す。舟と車の若し。
現代語訳
知者が事を起こすときは、必ず時勢に乗じる。時勢は必ず成功させられるとは限らないが、それでも人としてなすべき務めをおろそかにはしないので、うまくいってもよし、いかなくてもよしという心構えでいる。自分ができることは自分でなし、できないことは他者に託す。ちょうど舟と車のように、役割を使い分けるのである。
解説
「不廣」篇の総論です。要点は、知者は事を起こすとき必ず時勢に乗じるが、時勢は思いどおりにならないので、人としての務めを尽くしたうえで結果には執着しない、という心構えにあります。さらに、自分の得意はみずから行い、不得手は適した他者に託すべきだと、舟と車の使い分けにたとえて説きます。時流を読みつつ最善を尽くし、成否にとらわれず、適材適所で協力を得るという姿勢です。自分の限界を認めて他者と分担し、結果を潔く受け入れる発想は、不確実な状況で挑む現代の事業運営やチーム運営にも通じます。
この章句が説くこと
不広時に因る人事を尽くす適材適所舟と車知者
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