呂氏春秋 / 決勝①
夫兵有本幹:必義,必智,必勇。義則敵孤獨,敵孤獨則上下虛,民解落;孤獨則父兄怨,賢者誹,亂內作。智則知時化,知時化則知虛實盛衰之變,知先後遠近縱舍之數。勇則能決斷,能決斷則能若雷電飄風暴雨,能若崩山破潰,別辨霣墜;若鷙鳥之擊也,搏攫則殪,中木則碎。此以智得也。
新字:夫兵有本幹:必義,必智,必勇。義則敵孤独,敵孤独則上下虚,民解落;孤独則父兄怨,賢者誹,乱内作。智則知時化,知時化則知虚実盛衰之変,知先後遠近縦舎之数。勇則能決断,能決断則能若雷電飄風暴雨,能若崩山破潰,別弁霣墜;若鷙鳥之撃也,搏攫則殪,中木則砕。此以智得也。
書き下し
夫れ兵には本幹有り。必ず義、必ず智、必ず勇なり。義なれば則ち敵孤獨に、敵孤獨なれば則ち上下虚しく、民解落す。孤獨なれば則ち父兄怨み、賢者誹り、亂內に作こる。智なれば則ち時化を知る。時化を知れば、則ち虚實盛衰の變を知り、先後遠近縱舍の數を知る。勇なれば則ち能く決斷し、能く決斷すれば則ち能く雷電飄風暴雨の若く、能く崩山破潰し、別辨霣墜するが若し。鷙鳥の撃つや、搏攫すれば則ち殪し、木に中れば則ち碎くるが若し。此れ義智勇を以て得るなり。
現代語訳
そもそも兵には根本がある。必ず義であり、必ず智であり、必ず勇である。義があれば敵は孤立し、敵が孤立すれば上下は空虚になり、民は離れ落ちる。孤立すれば父兄は怨み、賢者はそしり、内乱が起こる。智があれば時勢の変化を知り、時勢の変化を知れば虚実盛衰の変転を知り、先後・遠近・進退の道理を知る。勇があれば決断でき、決断できれば雷や疾風暴雨のように、山が崩れ堤が決壊するように、ばらばらに崩れ落ちさせられる。猛禽が撃つように、つかめば倒し、木に当たれば砕く。これは義・智・勇によって得られるものである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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論語・陽貨篇子路曰く、「君子は勇を尚ぶか。」子曰く、「君子は義以て上と為す。君子勇有りて義無ければ乱を為し、小人勇有りて義無ければ盗を為す。」
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『五常訓』巻之四・義一子路問へり、君子は勇をたふとぶやと。子路は勇をこのむ人なれば、かくは問へり。孔子こたへて曰、君子は義をたふとぶ。位ある君子、もし勇のみありて義なければ、其力にまかせて反逆をなし、乱をおこす。位なく賤しき小人、もし勇のみにして義なければ、其力あるをたのみて、盗賊をなす。凡勇は、気に力ありて、人をおそれざるを云ふ。力を恃みて義無ければ、かくの如し。義は事の主なり。義を以て事を行へば、其事正し。義なくして事を行へば、其事皆邪なり。勇はまことに善をなすべき力なり。義を以て勇を行へば、其勇貴ぶべし。治世には、其力を以て善をなし、乱世には、其力を以て、武を行ひ、敵をうち、乱をしづむ。是皆義を以て勇を行ふ徳なり。まことに貴ぶべし。もし義なくして勇を用ふれば、かへりて道にそむき、物を害す。たとへば刀を以て敵をきり、悪人を殺すは義なり。刀を以て罪なき人をきるは、暴悪と狂乱となり。
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『晏子春秋』雑上・崔慶劫齊將軍大夫盟晏子不與崔杼既に莊公を弑して景公を立て、杼と慶封と之を相け、諸将軍大夫、及び顕士庶人を太宮の坎上に劫し、盟わざるを得ざらしむ。壇を為ること三仞、其の下を塪り、甲千を以て列ねて其の内外を環らす。盟う者皆剣を脱して入る。維だ晏子のみ肯んぜず、崔杼之を許す。敢えて盟わざる者有らば、戟其の頸を鉤し、剣其の心を承く。自ら盟わしめて曰く、「崔・慶に与せずして、公室に与する者は、其の不祥を受けん」と。言疾からず、指血に至らざる者は死す。殺す所七人。次いで晏子に及ぶ。晏子杯血を奉じ、天を仰ぎて歎じて曰く、「嗚呼。崔子は無道を為して其の君を弑す。公室に与せずして崔・慶に与する者は、此の不祥を受けん」と。俛して血を飲む。崔杼、晏子に謂いて曰く、「子、子の言を変えれば、則ち斉国は吾子と之を共にせん。子の言を変えざれば、戟既に脰に在り、剣既に心に在り、維だ子之を図れ」と。晏子曰く、「吾を劫すに刃を以てして其の志を失うは、勇に非ざるなり。吾を回すに利を以てして其の君に倍くは、義に非ざるなり。崔子、子独り夫の詩を為まざるか。詩に云う、『莫莫たる葛藟、条枚に施く。愷悌たる君子、福を求めて回ならず』と。今嬰且に以て回りて福を求む可けんや。曲刃もて之を鉤し、直兵もて之を推すとも、嬰は革まらず」と。
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『文武訓』武訓上一事の行ひて宜しききはを思ひきり、いさみてよくつとむれば、義行はれてあやまりなく後悔なし。かかる事のさかひのきはを、心おこたりゆるびてつとめざれば、不義となりおくれとなり、後悔すれどもかひなし。是義を見てせざるは勇なきなり。
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『慎思録』巻之五中華の俗、振古君を諫めて命を致す者、相踵ぎて絶えず。刀鋸前に在り、鼎鑊後に在りと雖も、敢へて其の死を畏れざる者は、何ぞや。其の俗義を尚び、且つ文学有りて、諫諍の方を知ればなり。本邦の俗、古来戦死を軽んずる者多し。鋒鏑羅列し、元を喪ふこと須臾に在りと雖も、敢へて其の身を惜しまざる者は、何ぞや。其の俗勇を好みて、名節を尚べばなり。倭漢気概を尚びて、其の死を惜しまざることは同じくして、死する所の地の異なる者は、他無し。俗尚の義を好みて学有ると、勇を好みて気を尚ぶとの同じからざるに因るなり。
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論語・陽貨篇子曰く、唯だ上知と下愚とは移らざるなり。

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