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呂氏春秋 / 懷寵②

暴虐姦詐之與義理反也,其(執)〔埶〕不俱勝、不兩立。故兵入於敵之境,則民知所庇矣,黔首知不死矣。至於國邑之郊,不虐五穀,不掘墳墓,不伐樹木,不燒積聚,不焚室屋,不取六畜。得民虜奉而(題)歸之,以彰好惡;信與民期,以奪敵資。若此而猶有(憂)〔复〕恨冒疾遂過不聽者,雖行武焉亦可矣。

新字:暴虐姦詐之与義理反也,其(執)〔埶〕不俱勝、不両立。故兵入於敵之境,則民知所庇矣,黔首知不死矣。至於国邑之郊,不虐五穀,不掘墳墓,不伐樹木,不焼積聚,不焚室屋,不取六畜。得民虜奉而(題)歸之,以彰好悪;信与民期,以奪敵資。若此而猶有(憂)〔复〕恨冒疾遂過不聴者,雖行武焉亦可矣。

書き下し

暴虐姦詐の義理と反するや、其の勢い俱に勝たず、兩つながらは立たず。故に兵、敵の境に入れば、則ち民庇わるる所を知り、黔首死せざるを知る。國邑の郊に至るまで、五穀を虐げず、墳墓を掘らず、樹木を伐らず、積聚を燒かず、室屋を焚かず、六畜を取らず。民虜を得れば、奉じて之を題歸し、以て好悪を彰らかにし、信もて民と期し、以て敵の資を奪う。此の若くして猶ほ憂恨冒疾、過ちを遂げて聽かざる者有らば、武を行うと雖も亦た可なり。

現代語訳

暴虐・姦詐は義理と相反するもので、その勢いは両立せず、共に立つことはない。だから義兵が敵の領内に入れば、民は身を寄せる所を知り、人民は殺されないと知る。国や町の郊外に至るまで、五穀を荒らさず、墳墓を掘らず、樹木を伐らず、蓄えを焼かず、家屋を焼かず、家畜を奪わない。民の捕虜を得れば、出身と名を明らかにして送り返し、それによって好悪を明らかにし、信義をもって民と約束を守り、そうして敵の頼みとするものを奪う。これほどにしてもなお、恨みねたみ過ちを重ねて従わない者がいれば、そのとき武力を用いてもよいのである。

解説

義兵が敵地でとるべき規律を具体的に説いた一段です。義兵が来れば民は身の安全を知り、五穀・墳墓・樹木・蓄え・家屋・家畜を害さず、捕虜は素性を明らかにして送り返し、信義を守って民心を得ることで敵の支持基盤を奪うと述べます。それでもなお従わぬ暴虐の者にだけ武力を用いてよいとし、無差別な暴力と正義の軍を峻別します。民を害さず信を守ることで勝つという発想は、力より人心を重んじる中国兵学の理想を示し、占領や紛争の倫理を考える現代にも示唆を与えます。

この章句が説くこと

義兵軍規懐寵民心捕虜信義

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