呂氏春秋 / 應同①
凡帝王者之將興也,天必先見祥乎下民。黃帝之時,天先見大螾大螻,黃帝曰“土氣勝”,土氣勝,故其色尚黃,其事則土。及禹之時,天先見草木秋冬不殺,禹曰“木氣勝”,木氣勝,故其色尚青,其事則木。及湯之時,天先見金刃生於水,湯曰“金氣勝”,金氣勝,故其色尚白,其事則金。及文王之時,天先見火,赤烏銜丹書集於周社,文王曰“火氣勝”,火氣勝,故其色尚赤,其事則火。代火者必將水,天且先見水氣勝,水氣勝,故其色尚黑,其事則水。水氣至而不知,數備,將徙于土。天為者時,而不助農於下。類固相召,氣同則合,聲比則應。鼓宮而宮動,鼓角而角動。平地注水,水流溼。均薪施火,火就燥。山雲草莽,水雲魚鱗,旱雲煙火,雨雲水波,無不皆類其所生以示人。故以龍致雨,以形逐影。師之所處,必生棘楚。禍福之所自來,眾人以為命,安知其所。
新字:凡帝王者之将興也,天必先見祥乎下民。黄帝之時,天先見大螾大螻,黄帝曰“土気勝”,土気勝,故其色尚黄,其事則土。及禹之時,天先見草木秋冬不殺,禹曰“木気勝”,木気勝,故其色尚青,其事則木。及湯之時,天先見金刃生於水,湯曰“金気勝”,金気勝,故其色尚白,其事則金。及文王之時,天先見火,赤烏銜丹書集於周社,文王曰“火気勝”,火気勝,故其色尚赤,其事則火。代火者必将水,天且先見水気勝,水気勝,故其色尚黒,其事則水。水気至而不知,数備,将徙于土。天為者時,而不助農於下。類固相召,気同則合,声比則応。鼓宮而宮動,鼓角而角動。平地注水,水流湿。均薪施火,火就燥。山雲草莽,水雲魚鱗,旱雲煙火,雨雲水波,無不皆類其所生以示人。故以竜致雨,以形逐影。師之所処,必生棘楚。禍福之所自来,衆人以為命,安知其所。
書き下し
凡そ帝王なる者の將に興らんとするや、天必ず先づ祥を下民に見わず。黄帝の時、天先づ大螾大螻を見わす。黄帝曰く、「土氣勝つ。」土氣勝つ、故に其の色は黄を尚び、其の事は土に則る。禹の時に及び、天先づ草木の秋冬に殺れざるを見わす。禹曰く、「木氣勝つ。」木氣勝つ、故に其の色は青を尚び、其の事は木に則る。湯の時に及び、天先づ金刃の水より生ずるを見わす。湯曰く、「金氣勝つ。」金氣勝つ、故に其の色は白を尚び、其の事は金に則る。文王の時に及び、天先づ赤烏の丹書を銜えて、周社に集まるを見わす。文王曰く、「火氣勝つ。」火氣勝つ、故に其の色は赤を尚び、其の事は火に則る。日に代わる者は必ず將に水ならんとす。天且に先づ水氣の勝つを見わさんとす。水氣勝つ、故に其の色は黒を尚び、其の事は水に則る。水氣至りて數の備わるを知らざれば、將に土に徙らんとす。天の為すは時にして、農を下に助けず。類は固より相召く。氣同じければ則ち合し、聲比すれば則ち應ず。宮を鼓すれば宮動き、角鼓すれば角動く。地を平らかにして水を注げば、水は溼に流れ、薪を均しくして火を施せば、火は燥に就く。山雲は草莽のごとく、水雲は魚鱗のごとく、旱雲は煙火のごとく、雨雲は水波のごとく、其の生ずる所に比類して以て人に示さざるは無し。故に龍を以て雨を致し、形を以て影を逐う。師の處る所は、必ず棘楚を生ず。禍福の自りて來たる所、衆人以て命と為す。安くんぞ其の所を知らん。
現代語訳
帝王が興ろうとするとき、天は必ずまず吉兆を民に示す。黄帝の時、天はまず大きなみみずやけらを現した。黄帝は「土気が勝つ」と言い、ゆえに色は黄を尊び、事は土に従った。禹の時には草木が秋冬にも枯れず、禹は「木気が勝つ」と言い、色は青を尊び木に従った。湯の時には金の刃が水中に生じ、「金気が勝つ」として白を尊び金に従った。文王の時には赤い烏が丹書をくわえて周の社に集まり、「火気が勝つ」として赤を尊び火に従った。火に代わるのは必ず水であり、天はまず水気の勝るのを示すだろう。水気が勝てば色は黒を尊び水に従う。水気が至ってもそれと気づかなければ、めぐりは土へと移る。天の働きは時に応じ、地上の農事を直接助けはしない。同類は互いに引き合い、気が同じなら合わさり、音が調和すれば響き合う。宮の音を鳴らせば宮が動き、角を鳴らせば角が動く。平地に水を注げば水は湿ったところへ流れ、薪を並べて火をつければ火は乾いたものにつく。山の雲は草むらのよう、水の雲は魚の鱗のよう、旱の雲は煙のよう、雨雲は水の波のようで、どれもその生じるもとに似せて人に示さないものはない。ゆえに龍によって雨を呼び、形によって影を従える。軍隊のいた跡には必ず茨が生える。禍福の由来を、人々は運命だと思うが、その本当の在りかを誰が知ろうか。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『長短経』君徳帝王、号を改むるに、五行の徳に於て、各々尚ぶ所有り。其の王たる所の徳に従いて次ぐ。〔木家の次位は火なり。木家は赤を尚ぶ。木徳義の府を以て其の母に循い、其の子を兼ぬるなり。〕夏后氏は金徳を以て王として黒を尚び、殷人は水徳を以て王として白を尚ぶ。〔水家は青を尚ぶ。而るに白を尚ぶは、土家の青を尚ぶを避くるなり。土家は宜しく白を尚ぶべし。土為る者は四行の主にして、四季に主たり。五行の用事は、先ず木より起こる。故に土家は木の色青きを尚ぶなり。〕周人は木徳を以て王として色は赤を尚ぶ。此れ三代の同じからざる所以なり。漢の初めに及び、孫臣・賈誼は以為えらく漢は土徳なりと。五行の伝を以て、勝たざる所に従う。〔伝は移の伝なり。五行相い代わるは、常に金木水火土相い勝つの法に従うなり。〕秦は水徳に在り。故に漢は土に拠りて之に剋つと謂う。劉向父子は以為えらく帝は震より出づ。故に庖犧氏は始めて木徳を受く。其の後は母を以て子に伝え、終わりて復た始まる。神農・黄帝より、下って唐虞三代を歴て、漢は火を得たり。故に高祖始めて起こるや、神母夜に号し、赤帝の符を著す。天統を得たるなり。昔、共工は水徳を以て木火の間に間たり。秦と運を同じくす。其の次に非ず。故に皆な永からざるなり。
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呂氏春秋・應同②夫れ巢を覆えし卵を毀てば、則ち鳳凰至らず。獸を刳き胎を食らえば、則ち麒麟來たらず。澤を乾し漁を涸らせば、則ち龜龍住まず。物の同じきに從うこと、記するを為す可からず。子は親に遮られず、臣は君に遮られず。君同じければ則ち來たり、異なれば則ち去る。故に君尊しと雖も、白を以て黑と為せば、臣も聽くこと能わず。父は親しと雖も、黑を以て白と為せば、子も從うこと能わず。黄帝曰く、「芒芒昧昧、天の威に因り、元と氣を同じくす。」故に曰く、「氣に同ずるは義に同ずるに賢り、義に同ずるは力に同ずるに賢り、力に同ずるは居に同ずるに賢り、居に同ずるは名に同ずるに賢る。帝者は氣に同じ、王者は義に同じ、霸者は力に同ず。勤むる者は居に同ずれば則ち薄く、亡ぶる者は名に同じれば則ち觕なり。其の智彌々觕なる者は、其の同ずる所彌々觕に、其の智彌々精なる者は、其の同ずる所彌々精なり。故に凡そ意を用うるは精ならざる可からず。夫れ精は、五帝三王の成る所以なり。成ること齊しく類すること同じく、皆合う有り。故に堯は善を為して衆善至り、桀は非を為して衆非來たる。商の箴に云う、「天災いを降し祥を布く、竝ぶに其の職有り。」以て禍福は人之を召くこと或るを言うなり。故に國の亂るるは獨り亂るるに非ざるなり、又必ず寇を召く。獨り亂るるは未だ必らずしも亡びず、寇を召けば則ち以て存する無し。
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五行大義・第二十一論五帝木王たれば則ち蒼帝の子、火王たれば則ち赤帝の子、土王たれば則ち黄帝の子、金王たれば則ち白帝の子、水王たれば則ち黒帝の子なり。故に録図に云う、東方の蒼帝は、体は蒼竜たり。その人は長頭面、大角、骨起こり、眉あり、背は豊博なり。金に順いて火に授く。南方の赤帝は、体は朱鳥たり。その人は尖頭、円面、方頤(ほうい)、張目、小上広下、鬚髥(しゅぜん)胸に偃(ふ)す。水に順いて土に授く。中央の黄帝は、体は軒轅たり。その人は面方、広顙(こうそう)、兌頤(えいい)、緩唇、背は豊厚なり。木に順いて金に授く。西方の白帝は、体は白虎たり。その人は方顙、直面、兌口、大鼻、小角なり。火に順いて水に授く。北方の黒帝は、体は玄武たり。その人は夾面、兌頭、深目、厚耳、垂腹、反羽なり。土に順いて木に授く、と。此れ並びに五行の符に象り、その行次に依りて、以て相伝授するなり。感精符に云う、蒼帝は、之を望めば広く、之を視れば博し。赤帝は、之を望めば火の煌煌として燃ゆるがごとく、之を視れば尖上なり。黄帝は、之を望めば小にして、之を視れば大なり、広厚正方なり。白帝は、之を望めば明らかに、之を視れば茂し。黒帝は、之を望めば巨にして、之を視れば穉(おさな)し、と。元命苞に云う、蒼精事を用うれば歳星に象り、赤精事を用うれば熒惑(けいこく)に象り、黄精事を用うれば鎮星に象り、白精事を用うれば太白に象り、黒精事を用うれば辰星に象る、と。此れ皆五徳の五行に依り、子母相伝うるなり。その次に非ざる者は、必ず剋代有りて終わらざるなり。
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五行大義・第十九論治政その人は尖頭長腰にして、疾敏、孝を尚ぶ。長腰は兌に取る。敏疾は火の性なり。離を日と為す。日に烏有り。烏は孝なり。善なれば則ち賢人任用せられ、政頌平らかに、駮馬(はくば)・文狐至る。馬は火の畜なり。善なり、故に来たる。狐も亦来たる。失えば則ち夏に霜ふる。日は是れ火の精なり、失う故に変じて蝕す。土を雨(ふら)すは、猝(にわか)に光明を蔽うの象なり。土を承けて王たれば、その首を表す。首大なるは、土を表すなり。その人は広肩大足にして、大笑し戯儛(ぎぶ)するを好む。広大は土に象る。和なるが故に逸楽するなり。善なれば則ち甘露降り、醴泉(れいせん)並びにその善に応ず。失えば則ち虫蝗(ちゅうこう)生じ、天雨ふりて常に風ふき、霧乱る。皆土気傷つく、故に異を表すなり。金を承けて王たれば、人と為り白色、差肩(さけん)耳、面方にして、毛なり。その民は白頸(はくけい)長大にして、義を尚ぶ。皆金気なり。善なれば則ち大貝明珠出で、外国遠く珠貝を貢す。金の用は、気剛にして、能く遠人を制す、故に来たりて貢献す。失えば則ち火飛び、天鳴り、地坼(さ)け、河溢れ、山崩れ、邪人進み、虫獣災いを為す。火は能く金を剋す。金に失有り、故に火之を伐ちて、乃ち飛ぶ。水を承けて王たれば、人と為り黒色、大耳。坎を耳と為し、腎水の気を主る、故に大なり。その民は聡耳(そうじ)なり。坎水は孔穴通ず、故に聡し。善なれば則ち景雲至り、亀竜文を被る。皆水気の祥を為すなり。失えば則ち蟾蜍(せんじょ)月を去り、民多く溺死し、常雨害を為す。皆水の憂いなり。此れ並びに治政の道の五行を越えざるを明かす。故に以て備(つぶさ)に釈す。
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五行大義・第十五論律呂十二月は丑(うし)に建つ。地の始めて化するの端(はじめ)、これを地統と謂う。殷の正(せい)にして、服色は白を尚(たっと)ぶ。物の牙(め)の色の白きに象(かたど)る。正月は寅(とら)に建つ。人の始めて化するの端、これを人統と謂う。夏(か)の正にして、服色は黒を尚ぶ。物の生ずる色の黒きに象るなり。此の三正の律は、亦た五徳を以て相承く。前の三皇を以て正と為す。天皇・地皇・人皇を謂う。皆天地人を以て法と為し、周(めぐ)りて復た始まる。その歳首に書する所は、乃ち因りて以て名と為す。三才の道を体して、万邦に君臨せんと欲するなり。故に天命を受けて王たる者は、必ず六律を調えて正朔(せいさく)を改め、五気を受けて服色を易(か)う。三正の道に法(のっと)るなり。周は天統を以てし、服色は赤を尚ぶは、陽道は左を尚ぶ、故に天は左旋す。周は木徳を以て王たり、火は是れその子にして、火の色は赤く左行す、その赤色を用うるなり。殷は地統を以てし、服色は白を尚ぶは、陰道は右を尚び、その行は右転す。殷は水徳を以て王たり、金は是れその母にして、金の色は白し、故に右行して、その白色を用う。夏は人統を以てし、服色は黒を尚ぶは、人も亦た左を尚ぶ。夏は金徳を以て王たり、水は是れその子にして、水の色は黒し、故に左行して、その黒色を用う。又云う、帝王の興るや、多く符瑞(ふずい)に従う。周は赤雀に感ず、故に赤を尚ぶ。殷は白狼を致す、故に白を尚ぶ。夏は元珪(げんけい)を錫(たま)わる、故に黒を尚ぶ。此れ皆先に兆す気王(きおう)の符にして、子母相助くるの義なり。漢の火徳を以てして、鎮星(ちんせい)の精、降りて黄石と為り、子房に授くるに兵信を以てし、沛公を助けて楚を滅ぼせしが如き、五運の色の相扶けて用を為すに非ざらんや。孔子云う、
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『長短経』君徳昔、季康子、五帝の徳を孔子に問う。孔子曰く「天に五行有り。木・火・金・水及び土なり。時を分かち化育を賛け、以て物を成す」と。〔一歳三百六十日、五行は行ごとに七十二日、化生長育す。〕其の神を五帝と為す。〔五帝は五行の神なり。〕古の王者、代を易え号を改むるに、法を五行に取る。五行更わる王たり、終始相い生ず。亦た其の義に象る。故に其の生きて明王為る者は、死して五行に配す。是を以て太皡は木に配し、〔勾芒は木正と為すなり。〕炎帝は火に配し、〔祝融は火正と為すなり。〕少皥は金に配し、〔蓐収は金正と為すなり。〕顓頊は水に配し、〔玄冥は水正と為すなり。〕黄帝は土に配す。〔后土は土正と為すなり。〕

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