呂氏春秋 / 古樂⑪
殷湯即位,夏為無道,暴虐萬民,侵削諸侯,不用軌度,天下患之。湯於是率六州以討桀罪,功名大成,黔首安寧。湯乃命伊尹作為《大護》,歌《晨露》,修《九招》、《六列》,以見其善。
新字:殷湯即位,夏為無道,暴虐万民,侵削諸侯,不用軌度,天下患之。湯於是率六州以討桀罪,功名大成,黔首安寧。湯乃命伊尹作為《大護》,歌《晨露》,修《九招》、《六列》,以見其善。
書き下し
殷湯、位に即きしとき、夏、無道を為し、萬民を暴虐し、諸侯を侵削し、軌度を用いず、天下之を患う。湯、是に於て六州を率いて以て桀の罪を討ず。功名大いに成り、黔首安寧す。湯乃ち伊尹に命じて大護を作為し、晨露を歌い、九招・六列を修せしめて、以て其の善を見わす。
現代語訳
殷の湯王が位についたとき、夏の桀王は無道を行い、万民を残虐に扱い、諸侯を侵略し、法度を用いず、天下はこれに苦しんだ。そこで湯は六州を率いて桀の罪を討ち、功名は大いに成り、民は安らかになった。湯は伊尹に命じて『大護』を作らせ、『晨露』を歌い、『九招』『六列』を修訂させて、その善政を表した。
解説
殷の湯王が暴君桀を討って天下を安んじ、その徳を音楽で表した由来を語る段です。桀の暴政に苦しむ天下を救うため、湯は諸国を率いて桀を討ち、民を安らかにしました。そして伊尹に『大護』を作らせ、既存の名曲も修訂させて、自らの善政を明らかにしたといいます。前段の禹と同じく、ここでも音楽は聖王の功績と徳を顕彰し、正統性を示す役割を担っています。暴君を放伐して秩序を回復するという儒家的な革命の物語と、それを讃える楽とが結びつく点が特徴です。武力による討伐すら、私利ではなく民を救う徳の発露として位置づけ、それを音楽に託して伝えるところに、力と徳を結ぼうとする古代の政治思想が表れています。
この章句が説くこと
殷湯桀伊尹大護晨露放伐
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