論語 / 子張篇
子夏曰:「雖小道,必有可觀者焉,致遠恐泥,是以君子不爲也。」
新字:子夏曰:「雖小道,必有可観者焉,致遠恐泥,是以君子不為也。」
書き下し
子夏曰く、小道と雖も、必ず観る可き者有り。遠きを致すには泥まんことを恐る。是を以て君子は為さざるなり。
現代語訳
子夏が言った。「小さな技芸であっても、必ず見るべきところがある。だが遠くまで行こうとすると、そこにはまり込む恐れがある。だから君子はそれをやらないのだ。」
解説
小さな技芸を全否定していない。必ず見るべきところがある、と認めている。問題は、それが面白いことだ。面白いから深入りし、深入りすると抜けられなくなる。遠くへ行くという本来の目的から外れる。だから手を出さない、という判断である。禁欲ではなく、時間配分の設計として読むべきだろう。価値のあるものは無数にある。どれも学べば面白く、得るものもある。だが人生の時間は有限で、遠くへ行くには一つの道を進むしかない。魅力的な寄り道をどう扱うかは、長く仕事をする人の共通の課題だ。子夏の答えは明快で、価値を認めたうえで手を出さない。価値が無いから避けるのではない。価値があるからこそ、はまる危険があると見ている。