論語 / 陽貨篇
子曰:「色厲而內荏,譬諸小人,其猶穿窬之盜也與?」
新字:子曰:「色厲而内荏,譬諸小人,其猶穿窬之盗也与?」
書き下し
子曰く、色厲しくして内荏なるは、諸を小人に譬うれば、其れ猶お穿窬の盗のごときか。
現代語訳
先生がおっしゃった。「顔つきは厳しいのに内心は弱い。それを小人にたとえるなら、壁に穴をあけて忍び込む盗人のようなものだろうか。」
解説
外は厳しく、内は弱い。この不一致を、こそ泥にたとえた。強い比喩である。なぜ盗人なのか。実力が無いのに、あるように見せて地位や信用を得ているからだろう。実質の伴わない威厳は、他人から評価を盗んでいるのと同じだという判断である。しかも穿窬、壁に穴をあけて忍び込む類の、こそこそした盗みにたとえられている。堂々とした強盗ではない。この不一致は、上に立つ人が陥りやすい。弱さを見せられないので、表情と口調で威厳を作る。作った威厳は、内側が伴っていないので維持に神経を使い、結果としてさらに固くなる。周囲はたいてい見抜いている。厳しさを演じるより、分からないことを分からないと言うほうが、結局は信用を得る。