論語 / 衛霊公篇
子曰:「眾惡之,必察焉;眾好之,必察焉。」
新字:子曰:「眾悪之,必察焉;眾好之,必察焉。」
書き下し
子曰く、衆之を悪むも、必ず察す。衆之を好むも、必ず察す。
現代語訳
先生がおっしゃった。「大勢が憎んでいても、必ず自分で確かめる。大勢が好んでいても、必ず自分で確かめる。」
解説
多数の評価をそのまま受け取らない、という規律である。憎まれている側についても、好かれている側についても、同じように確かめる。両方に同じ言葉を使っているのが要点だ。人は否定的な評判については警戒するが、肯定的な評判は疑わない。皆が良いと言っているものを疑うのは、労力もかかるし、疑うこと自体が奇異に見える。だから検証が省かれる。実務でこの規律が効く場面は多い。評判の良い取引先、社内で人気のある人材、業界で称賛されている手法。どれも大勢の評価が先にあり、自分で確かめる前に判断が固まっている。必察という言葉が強い。必ず、である。例外を認めていない。多数の評価は情報として有用だが、それは判断の材料であって判断そのものではない。