論語 / 憲問篇
子曰:「臧武仲以防,求爲後於魯,雖曰不要君,吾不信也。」
新字:子曰:「臧武仲以防,求為後於魯,雖曰不要君,吾不信也。」
書き下し
子曰く、臧武仲、防を以て、後を魯に為さんことを求む。君に要せずと曰うと雖も、吾信ぜざるなり。
現代語訳
先生がおっしゃった。「臧武仲は防の地に立てこもって、自分の後継ぎを立ててくれるよう魯に求めた。君主に強要したのではないと言うが、私は信じない。」
解説
臧武仲は形の上では要求していない。願い出ただけである。しかし城に立てこもったまま願い出れば、それは強要と変わらない。孔子はその形式を認めなかった。言葉の上でどう装っても、置かれている状況が相手の選択肢を奪っているなら、それは強要だという判断である。この見方は交渉の場面でそのまま使える。お願いという形をとりながら、断れない状況を作っておく手法は珍しくない。納期直前に条件を出す、他に選択肢がない時期に提案する、上位者の同席のもとで意向を伝える。どれも形式的には依頼だが、実質は強制だ。自分が使う側に回ったとき、この区別を自覚しているかどうかが問われる。相手に断る余地が残っているかを、形式ではなく状況で確かめる必要がある。
この章句が説くこと
強要形式と実質交渉臧武仲誠実
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