論語 / 先進篇
顏淵死,子曰:「噫!天喪予!天喪予!」
書き下し
顔淵死す。子曰く、「噫、天予を喪ぼせり、天予を喪ぼせり。」
現代語訳
顔淵が死んだ。先生はおっしゃった。「ああ、天は私を滅ぼした。天は私を滅ぼした。」
解説
論語の中で最も激しい嘆きである。弟子が死んだのに、天が私を滅ぼした、と自分の言葉で言っている。顔回は孔子の道を継ぐはずの人物だった。その死は、孔子自身の生涯の仕事が断たれたことを意味した。だから、他人の死ではなく自分の喪失として叫んでいる。理性的な人物とされる孔子の、最も剥き出しの言葉だ。後継者を失うことの重さは、事業を営む人にはよく分かる。技術も理念も、受け取る人がいなければ一代で終わる。しかも後継者は、いつでも代わりが見つかるものではない。同時に、この叫びは孔子が顔回に何を賭けていたかを露わにもする。人を育てるとは、そこまで賭けることでもある。賭けているからこそ、失ったときに自分が滅びる。