論語 / 子罕篇
子曰:「吾自衞反魯,然後樂正,雅頌各得其所。」
新字:子曰:「吾自衛反魯,然後楽正,雅頌各得其所。」
書き下し
子曰く、吾衛より魯に反り、然る後に楽正しく、雅頌各々其の所を得たり。
現代語訳
先生がおっしゃった。「私が衛から魯に帰って、それから音楽が正され、雅と頌がそれぞれあるべき位置に収まった。」
解説
諸国を巡って用いられなかった孔子が、帰国後に取り組んだ仕事の報告である。政治ではなく、音楽の整理だった。雅と頌という詩の分類を、本来あるべき配置に戻した。地味な作業だが、後世に残ったのはこちらのほうである。政治的な成功を得られなかった人が、最後に何をするかという問題に対する一つの答えになっている。制度を動かす立場を失っても、次の世代が使う土台を整えることはできる。しかも整理という仕事は、それをやった人の名前が表に出にくい。孔子はそれを自分の口で述べている。誇るというより、確認している調子である。事業を離れる時期に何を残すかを考えるとき、この選択は参考になる。動かすことと、整えることは別の貢献である。