古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

論語 / 公冶長篇

子曰:「孰謂微生高直?或乞醯焉,乞諸其鄰而與之。」

新字:子曰:「孰謂微生高直?或乞醯焉,乞諸其鄰而与之。」

書き下し

子曰く、孰か微生高を直と謂う。或るひと醯を乞う。諸を其の鄰に乞いて之を与う。

現代語訳

先生がおっしゃった。「誰が微生高を正直だと言うのか。ある人が酢をもらいに来ると、(自分の家には無いので)隣の家にもらいに行って、それを与えた。」

解説

一見すると親切な行いである。自分の家に酢が無かったので、わざわざ隣から調達して相手に渡した。それのどこが問題なのか。孔子が咎めたのは、無いものを無いと言わなかったことである。相手の期待に応えたい、断って落胆させたくない。その気持ちが、事実を曲げるほうへ働いた。頼んだ側は、微生高の家に酢があると思ったままである。小さな話に見えるが、構造は仕事の中で繰り返される。できないと言えずに引き受け、外注で埋めて納品する。相手は自社にその能力があると信じ続け、次はもっと大きな依頼が来る。善意で始まった上乗せが、いつのまにか実力の誤認を積み上げる。正直とは、いい人であることではない。無いものを無いと言えることである。

論語の全501章を、手元に置ける一覧に。

全章の原文・書き下し・現代語訳を篇の順に並べた印刷用PDF(A4・約130頁)。よく引かれる名言43句には★と一覧表付き。480円。

中身を見る

この章句が説くこと

正直見栄微生高誠実期待管理

関連する章句

論語の全501章を原文・書き下し・現代語訳で一覧に(PDF・480円)中身を見る