論語 / 里仁篇
子曰、君子懷德、小人懷土。君子懷刑、小人懷惠。
新字:子曰、君子懐徳、小人懐土。君子懐刑、小人懐恵。
書き下し
子曰わく、君子は徳を懐き、小人は土地を懐く。君子は刑(規範)を懐き、小人は恩恵を懐く。
現代語訳
上に立つ者は“徳と規範”を気にかけ、下心は“土地と恩恵”に向かう。
解説
立派な人は、いつも心の中に徳(正しい生き方)を思い、決まりごとや筋道を大切にします。一方、まだ至らない人は、目先の土地や財産、自分の得になる恩恵にばかり心を向けがちです。会社の上司で言えば、部下に仕事の意味や大切な考え方を伝えて長い目で育てようとする人と、目先の褒美や居心地の良さだけで人をつなぎとめようとする人の違いに似ています。家庭でも、子供に「なぜそれが正しいのか」を根気よく教える親と、お菓子やお小遣いでその場をしのぐだけの親とでは、育つ子供の芯の強さがまるで違ってきます。目先の得より変わらぬ筋道を大事にする心がけが、人を本当について来させる力になるのです。
この章句が説くこと
倫理観行動規範企業文化インセンティブ持続的成長
関連する章句
-
論語・季氏篇陳亢、伯魚に問いて曰く、「子も亦た異聞有りや。」対えて曰く、「未だし。嘗て独り立てり。鯉趨りて庭を過ぐ。曰く、『詩を学びたるか。』対えて曰く、『未だし。』『詩を学ばずんば、以て言うこと無し。』鯉退きて詩を学ぶ。他日、又独り立てり。鯉趨りて庭を過ぐ。曰く、『礼を学びたるか。』対えて曰く、『未だし。』『礼を学ばずんば、以て立つこと無し。』鯉退きて礼を学ぶ。斯の二者を聞けり。」陳亢退きて喜びて曰く、「一を問いて三を得たり。詩を聞き、礼を聞き、又君子の其の子を遠ざくるを聞けり。」
-
論語・八佾篇子貢、告朔の餼羊を去らんと欲す。子曰く、「賜や、爾は其の羊を愛しむ、我は其の礼を愛しむ。」
-
論語・里仁篇子曰わく、君子は義にさとり、小人は利にさとる。
-
孟子・離婁章句上孟子曰く、「求や季氏の宰と為り、能く其の德を改めしむる無く、而も粟を賦すること他日に倍せり。孔子曰く、『求は我が徒に非ざるなり。小子、鼓を鳴らして之を攻めて可なり。』此に由りて之を觀れば、君、仁政を行わずして之を富ますは、皆孔子に棄てらるる者なり。況や之が為に強戰し、地を爭いて以て戰い、人を殺して野に盈て、城を爭いて以て戰い、人を殺して城に盈つるに於いてをや。此れ所謂土地を率いて人の肉を食らわすなり。罪、死に容れず。故に善く戰う者は上刑に服し、諸侯を連ぬる者は之に次ぎ、草萊を辟き、土地に任ずる者は之に次ぐ。」
-
論語・憲問篇子路、成人を問う。子曰く、「臧武仲の知、公綽の不欲、卞荘子の勇、冉求の芸の若き、之を文るに礼楽を以てせば、亦た以て成人と為す可し。」曰く、「今の成人なる者は、何ぞ必ずしも然らん。利を見ては義を思い、危うきを見ては命を授け、久要平生の言を忘れざれば、亦た以て成人と為す可し。」
-
論語・憲問篇子曰く、「君子の道なる者三つ、我能くすること無し。仁者は憂えず、知者は惑わず、勇者は懼れず。」子貢曰く、「夫子自ら道うなり。」