論語 / 里仁篇
子曰、君子之於天下也、無適也、無莫也、義之與比。
新字:子曰、君子之於天下也、無適也、無莫也、義之与比。
書き下し
子曰わく、君子の天下に於けるや、これと決めつけず、また排さず、義に与する。
現代語訳
孔子が『君子は天下のことに対して、これだけが正しいと決めつけることもなく、これは駄目だと排除することもない。ただ、道義(義)に従うだけである』と言われた。
解説
君子は世の中のことに対して、これでなければならないと決めつけることもなく、これは絶対に駄目だと初めから退けることもありません。ただ、何が正しい道理にかなっているかということだけを判断のよりどころにする、と孔子は言います。過去にうまくいったやり方や、自分の個人的な好みにいつまでもしがみついていると、状況が変わったときに正しい判断ができなくなります。子育てのやり方も、仕事の進め方も、時代や相手によって最適な形は変わっていきます。「昔からこうだから」「自分はこう思うから」だけで決めつけず、そのときどきに何が本当に正しく筋の通ったことなのかを、そのつど素直に考え直す。この柔らかさと、正しさを貫く一貫性を両方持ち合わせることこそ、物事をうまく進める判断の要になります。
この章句が説くこと
客観的判断公正性原理原則意思決定柔軟性
関連する章句
-
論語・里仁篇子曰わく、君子は義にさとり、小人は利にさとる。
-
論語・雍也篇子曰わく、中庸の徳たるや、その至れるかな!民、鮮(すくな)きこと久し。
-
論語・雍也篇宰我問いて曰く、「仁者は之に告げて『井に仁有り』と曰うと雖も、其れ之に従わんか。」子曰く、「何為れぞ其れ然らんや。君子は逝かしむ可きも、陥る可からず。欺く可きも、罔う可からず。」
-
『韓非子』飾邪第十九故に曰く、「龜筴鬼神以て勝を舉ぐるに足らず、左右背鄉以て専ら戦うに足らず。然り而して之を恃むは、愚なること焉より大なるは莫し。」
-
『韓非子』揚權第八故に喜びを去り悪を去り、心を虚ろにして以て道の舎と為す。
-
『韓非子』外儲説右上第三十四是を以て好惡見るれば則ち下因る有り、而して人主惑わさる。