驢鞍橋 / 卷下
一日、去る人來り、今時の出家の善惡を見分得ずと云ふに、示して曰く、只出家を宜しとし、入家を惡しとす。謂ふは幼少より寺を望み、位を望み思つて習學する者は、皆是入家、餓鬼入道也。是れを離て佛道を思ふ者、眞の出家也。
新字:一日、去る人来り、今時の出家の善悪を見分得ずと云ふに、示して曰く、只出家を宜しとし、入家を悪しとす。謂ふは幼少より寺を望み、位を望み思つて習学する者は、皆是入家、餓鬼入道也。是れを離て仏道を思ふ者、真の出家也。
書き下し
一日、去る人来り、今時の出家の善悪を見分得ずと云ふに、示して曰く、只出家を宜しとし、入家を悪しとす。謂ふは幼少より寺を望み、位を望み思つて習学する者は、皆是入家、餓鬼入道也。是れを離て仏道を思ふ者、真の出家也。
現代語訳
ある日、ある人が来て、今どきの出家の善悪を見分けられない、と言うので、示して言われた。ただ出家を良しとし、入家を悪しとする。というのは、幼いときから寺を望み、位を望んで学ぶ者は、みなこれは入家であり、餓鬼入道である。これを離れて仏道を思う者が、本当の出家である。
解説
僧侶の善し悪しをどう見分けるか、と問われ、正三は、出家と入家の区別を示す。幼い頃から寺での地位や位を目指して学ぶ者は、家を出たのではなく寺という家に入っただけの入家であり、欲にまみれた餓鬼入道だ、と。地位や名誉を離れて道を求める者こそ真の出家である、と。組織に所属していることと、その組織の本来の目的に生きていることは違う。どんな職業にも当てはまる、本物と偽物の見分け方である。
この章句が説くこと
出家入家地位本物使命見分け
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